以下、給与情報をオープンにするための基本点をまとめた。

[ 1 ] 1対1で話をする

企業は社員に給与についての情報を伝える際に、マニュアル、ハンドブック、大規模な社員ミーティングなど、マスコミュニケーションに依存するが、今回の調査によれば、こうした手段は効果的ではない。理想的なのは、管理職と部下が一対一で話し合うことだ。このとき、管理職が質問に答えるだけでは十分ではない。正式であれ、非公式であれ、管理職にいる者が率先して、正式な会合、非公式なコンタクトにおいて会話の口火を切るべきである。

[ 2 ]  管理職に対する効果的な訓練を行う

管理職がリードして給与情報を伝えるためには、彼ら自身がもっと効果的な訓練を受けなければならない。第1に、管理職は給与体系の全容を知らなければならない。次に、部下に情報をわかりやすく、具体的に伝えることを学ばなければならない。

特定の社員に関する給与プランの特徴を意識すれば、最も効果的に給与情報を伝えることができよう。たとえば、種々のボーナスを用意している会社であれば、その受給対象者には、ボーナスが与える影響について伝えるべきだし、ストック・オプションの恩典を得られない給与水準の低い従業員には、給与プランの構成を詳しく教える必要はない。従業員と給与について話す場合には、昇給率の決定方法とさらに職級アップを狙うために業績を上げる具体的な方法を中心に語るのがよい。

[ 3 ] 社員は傭兵ではなく不可欠なチームメンバーとして扱う

社員を納得させる秘訣は、会社の財務事情を伝えることだ。そのためには、社員をなだめたりすかしたりする対象としてではなく、信頼する身内として扱う姿勢が不可欠である。会社がいい情報をオープンにするのは容易だが、問題や未解決の難問について社員に伝えることもまた、必要なことである。

給与情報をひた隠しにしてきた経営者には、給与についてよりオープンに話すという考えは馴染まないかもしれない。だが、ルブランは、雇用者と被雇用者の関係を強固にするためには、給与についてオープンに直截に話し合うべきであると言う。そうしたコミュニケーションを通じて、社員は使用人ではなく、会社の欠くべからざる重要な一員として扱われることを期待するようになる。給与という長年の「機密事項」を社員に知らせる行為そのものが友好的な雰囲気をつくりだす、とルブランは信じている。

「給与カットを迫られている状況下で、給与をたくさん分配することは不可能でも、知識を分配することは可能なはずだ」

(翻訳=ディプロマット)