副業は「目的」ではなく「手段」である

私は、アルバイトやギグワークを否定しているわけではありません。アルバイトやギグワークで経験を積み、自分が本当にやりたいことにつなげるのだったら、やってみる価値はあります。

たとえば、ウーバーイーツの配達員をした経験を生かして、飲食店のコンサルティングをするというならわかります。

私自身、会社員時代に、コンサルタントとして独立するための準備、手段として、コンサルティング会社でアルバイトをしていたことがあります。

具体的に何をしていたかというと、たとえばマーケティングの調査です。スーパーで冷凍食品数を数えたり、カウンターを片手に朝から晩まで通行量調査を行なったりすることもありました。一日あたりの報酬は5000円程度。当時はお金を得ることよりも、コンサルタントに必要な知識と経験を身につけることに必死でした。

コンサルタントになるための知識、情報を得るための書籍代を稼ぐために書評を書き、報酬を得ていたこともあります。その頃は、Amazonが日本に進出したばかりで、認知度が低く、今のようにレビューが集まりませんでした。

そこでAmazonは書評を一本数千円で買い取ってくれました。私はAmazonでコンサルタントになるために必要な本を買い、書評を書き、そのお金で新しい本を購入していました。

本を読む男性
写真=iStock.com/mapo
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やがて書評の報酬はどんどん下がっていき、ご存じのように今では誰もが無料でレビューを書くようになっています。

私が書評を書いていたのは、勉強のためであり、文章力をつけるためです。当時の経験は、その後の執筆活動に大いに生かされました。

もし、お金を稼ぐことだけを目的にひたすら書評を書くことに没頭していたら、無理がたたって体を壊していたに違いありません。

繰り返しますが、体力勝負の副業は命取りです。やるにしても期限を決めて、経験とスキルを身につけるということを目的にするべきだと思います。

50代以上の人の経験を活かせる「スキルシェアサービス」

会社にいながら副業で仕事をするなら、経験やスキルを効率的にお金にすることを考える必要があります。

世の中には副業したい人と、副業人材を活用したいと考える企業などの組織をマッチングするスキルシェアサービスがたくさん誕生しています。

たとえば、「ビザスク」というプラットフォームがあります。これは一時間からスポットでのコンサルティングを提供するサービス。企業がコンサルタントを雇うと相当なコストがかかりますが、ピンポイントで依頼すれば非常に便利です。

ビザスクにはさまざまな分野のエキスパートが登録しています。50代以上の人も経験を生かしてさまざまな案件を受注しています。

「コンサルの仕事はちょっとハードルが高い」という人にも、いろいろな選択肢が用意されています。

有名なものでいえば、ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスが挙げられます。いずれも国内最大級のプラットフォームであり、デザインやライティング、ウェブ制作、アプリ開発などの案件が常に受発注されています。

専門性があれば優良案件を受注することも可能です。ただし、データ入力など低単価の単純作業も多く、結局は体力勝負になってしまうので注意してください。