50代の会社員は人生後半の仕事に向けて、何から始めるべきか。経営コンサルタントの藤井孝一さんは「50代は定年後に向けて、『その会社にいることで生じている価値』を『自分自身の価値』に転換する作業が必要だ。自分の棚卸し作業をしたうえで専門分野を決め『週末起業』をすれば3~5年もかければ軌道に乗せることができる」という――。

※本稿は、藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

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「自分」のキャリアを過小評価するべからず

50代までキャリアを積んだ人には、たくさんの知識、スキル、経験が備わっています。そういった蓄積を生かして活躍する余地は十二分にあります。

にもかかわらず、多くの人が自分のキャリアを過小評価しています。そのせいで、せっかくのチャンスをムダにしています。「自分がこれまでやってきたこと」に、もっと自信を持ってほしいものです。

私は起業をテーマに講演したりスクールで講義をしたりするとき、50代の人に向けてこんなふうに話をしています。

「はっきりいいますが、50歳でこんなところにきている時点で起業家の適性がありません。適性がある人は、もっと早い段階で独立しているはずです」

そうすると、聞いている人たちは一様に不機嫌な顔をします。続けて私は、次のように話をします。

「でも、ここまで会社員を続けてきたということは、組織人としては間違いなく適性があります。組織の中で、いろいろな制約を抱えながら、利害が異なる人たちの話をまとめ、成果を上げていく。それは誇るべきスキルです」