聞き手と話し手の立場は「対等」である

地位の高い方への取材というので、こちらが恐縮して、へりくだりすぎてしまったのだと思います。ラジオ放送でしたが、聞いている方にも緊張感やぎこちなさが伝わってしまったことでしょう。

草野仁『「伝える」極意』(SBクリエイティブ)
草野仁『「伝える」極意』(SBクリエイティブ)

経験がなかったとはいえ、私の最初のインタビューは失敗だったということです。今振り返ると、新人としてはよくありがちな失敗なのだろうとは思います。しかし、聞き手と話し手というのは、立場上は対等でないといけないわけですから、たとえ聞きにくいことがあっても、聞かなければいけないのです。

新人の私はその原則を忘れて、下手したてに出すぎた。そのために、聞いている人が「何をやっているんだ、話が聞けていないじゃないか」と違和感を覚えたわけです。

人は何となく、「聞き手は相手に対してへりくだるべきである」と思い込んでいるものですが、それは間違いなのです。このことがあってから私は、どんな目上の人であっても、きちんとインタビューをしなければいけないと肝に銘じたのです。

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