自立とは上手に依存すること
「人に頼る」とか「助けを求める」のは未熟であり、自立した人ではないと考える人が多いかもしれません。ですが、そうではありません。
赤ちゃんや幼児は、親にしっかりと甘え、依存するなかで心が成長していきます。依存は自立へと向かうために不可欠です。誰も頼らず依存しない幼児は、健全に成長できるでしょうか。恐らく難しいでしょう。
乳幼児期にしっかり依存することが、後の自立へとつながります。
また、自立を「誰にも頼らないこと」だと考える人が少なくありませんが、自立とは本当は「依存先を増やすこと」です。たとえば車いすで生活をしている人は、多くの人や物に助けてもらう必要があります。頼る先が特定の人に集中するのは避けるべきですが、多くの人に少しずつ上手に依存して、自分なりの生活をしている姿は、自立しているといってよいのです。
このように「自立とは上手に依存すること」です。人が育つ過程でもっとも身につけなくてはいけない能力のひとつは「上手に人に助けてもらう能力=ヘルプシーキング能力」です。
自分の人生を俯瞰し、「よくがんばったね」とねぎらう
愛着再形成のレッスン①
いままでひとりでがんばってきた人がヘルプシーキング能力をつけようとしても、一朝一夕にはできません。段階を踏んで進めましょう。
最初のステップは、自分の心と向き合い精神構造に気づくことです。
自分の心を直視するのはラクなことではありません。
けれども、心の治療には自分の精神構造に気づくことが必要です。自ら精神のよりどころや弱点を理解して、初めて心を補強できるのです。
あなたは、何度もつらい気持ちに耐えながら、ここまでやってきたのではないでしょうか。
これまでの人生をふり返り、がんばった自分に「よくここまで生きてきたね」と労をねぎらってあげましょう。懸命に生きてきた自分をイメージし、「よしよし」とほめてあげてください。
自分の労をねぎらえたら、次のステップに進むことができます。