元フライトアテンダントのシャーメイン・デービス氏は、BBCに、「立ち上がってもあまり意味がないですから、着席したまま待つのがおすすめです」と述べる。降機のためPBB(搭乗橋)が架けられるまでには、思いのほか時間を要する。そのため、機内で立ち上がってもドアが空いておらず、通路で渋滞するだけとなる。自席に座って待った方が本人も楽だ。さらに、預け入れ荷物がある場合、「いくら早く降機しても、手荷物受け取り所でその分、長く待つだけです」とデービス氏は語る。
「靴だけは脱がないで」リクライニング以上の“不快行為”も
細かなところでは、座席ポケットの使用も前席に不快感を与えることがある。米経済メディアのストリートの記者は、3時間のフライト中に起きた不快な出来事を取り上げている。後席に座る若い男性客が、ほぼ10分おきに前方座席のポケットを探り続け、その度に記者の背中に不快な動きが伝わったという。
座席ポケットと前席の背中との間隔は思いのほか狭く、手や指の動きは背中にダイレクトに伝わる。問題の乗客はヘッドフォンの出し入れを繰り返し、機内メニューを何度も確認し、スマートフォンを座席ポケットに収納しては取り出す動作を繰り返した、と記事は説明している。
米ヒル紙は、スカイスキャナーの調査で、航空機内で最も不快感を与える7つの行為が明らかになったと報じている。
1位は爪切りや髭剃りなど機内の自席で身だしなみを整える行為で、全回答者の42%が「最も不快な行為」として挙げた(複数回答)。2位にはヘッドフォンを使わないで音楽・動画を再生する行為が入り、40%以上の回答者が不快感を示した。3位は見知らぬ人との会話や過度なおしゃべりで、39%が不快な行為として挙げている。
4位は靴や靴下を脱ぐ行為となり、35%が不快だと回答した。5位から7位はいずれも31%の回答率で、座席のリクライニング、両方のアームレストを使用すること、座席の交換を持ちかけられること、という結果となった。髭剃りや靴を脱ぐことは、座席のリクライニングよりもさらに不快な行為と受け止められているようだ。
気を張りすぎても旅行を楽しめなくなってしまうため、過剰に気遣うのも考え物だ。ただし、自分が気にも留めないことでも、他人の快適な旅路を意図せず妨げてしまうことはあるかもしれない。今回取り上げたもののように、一般に否定的な反応を招きがちな行為を知っておくだけでも、お互いに小さな気遣いを重ねるポジティブな関係につなげられる。この年末年始、多忙ななかにもひとときの快適な旅路を楽しみたい。