利差だけでなくファンダメンタルズは円安要因か

ここまでは日米金利差を中心にドル・円相場について説明してきましたが、経済の基礎力ともいえる日米の「ファンダメンタルズ」の差にも注意しなければなりません。日米金利差は、前述したように縮小に向かい、その分、円が買われる可能性が高いと考えられます。

一方、ファンダメンタルズから見た日米の差は残念ながら歴然としたものがあります。

まず、人口減少です。日本人だけ見れば1年間で約80万人、長期滞在の外国人を含めても50万人程度の減少が続いています。さらには、高齢化率が上がり、2025年には団塊の世代の方たち全員が後期高齢者となります。それにともない、若年層への税や社会保障の負担が増大しています。

お金持ちと貧乏人の足元を左右で再現
写真=iStock.com/erllre
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また、上記に関連して、財政赤字が増え続けています。対名目GDP比の財政赤字の比率は250%程度と先進国中最悪です。米国より相当高いです。

今後財政が破綻するかは不明ですが、財政赤字は危機的な水準です。

また、これらの長期的課題に対処しなければならない政権・政府ですが、残念ながらその弱体ぶりは目を覆うばかりです。もちろん、政権の弱体化は円安要因です。また、朝鮮情勢や中台情勢など極東アジアの緊張が高まれば、それも円安の要因と考えます。

25年のドル・円相場は金利差の縮小にともない円高に振れながらも、ファンダメンタルズを横にらみしながらの相場展開になると考えます。

こうした予測を踏まえると、25年の国民の金回りはどうなるか。

日本経済は金利が上昇しながらも、その上昇は企業経営などに急激に大きな影響を及ぼさないことへの配慮も必要になるため、比較的なだらかな上昇となることが予想されます。

インフレもある程度続き、人手不足から給与の上昇も続くものの、円安が一休みということや中国経済の先行きが不透明なことから輸出企業を中心に企業収益は頭打ち感が強くなるでしょう。そのため、物価上昇を上回るほどの賃金上昇は期待薄です。日銀は、物価上昇と賃金を横にらみしながらの難しい金融調整が続きそうです。

新NISAなどで投資をしている方も多いと思いますが、米景気はトランプ新大統領の「アメリカ・ファースト」もあり比較的堅調に推移すると考えられ、それによりS&P500などもしっかり成長すると予想しています。ただ、為替が円高に振れれば、その分、投資収益は落ちますので、その影響を視野に入れなければいけません。加えて投資に関しては、前述した日米中央銀行の金利や、日本の景気の動向にも注意が必要です。

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