「経営コンサルタントとしての仕事が来るのはあと数年」

つい最近も私自身の体験でこんなことがありました。ある知人に呼び出されて雑談をしていたときのことです。その知人は会社を経営していて、雑談の中で「最近ちょっと困っているんだけど」と、とある経営相談をしてきました。

私も雑談として「あまり詳しいジャンルの話ではないけれども」といって、3つほどそういった場合の対処法について話をしました。知人は私の話を聞きながらスマホをいじっていたのですが、突然、

「鈴木さんは凄いな」

と言い出したのです。

「急に何?」

と問うと、

「だって、ChatGPT Plusがまったく同じ3つのアドバイスをしているよ」

と知人が驚いているのです。その瞬間、私も「経営コンサルタントとしての仕事が来るのはあと数年だな」と覚悟を決めました。

これらの話をまとめてしまうと、企業のバックオフィスでこれまで人手をかけてきたホワイトカラーの仕事は、2025年からはほぼほぼワンボタンで済むようになるということです。

ラップトップを使用しているビジネスマン
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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「月額3万円」は大企業にとっては高くない

ここで、

「とはいっても月額3万円というのは高すぎないかな?」

と思われる方も多いかもしれません。

個人の視点でみればPlusのように月額3000円で、それで少し早く帰宅できるなら、自腹でスマホに生成AIをインストールしてもいいかなと思っていたかもしれませんが、月額3万円となると高すぎてちょっと手を出すのをためらうかもしれません。

しかし大企業の観点では見え方が違います。

企業にとっては会社の経費の中でも大きいもののひとつが人件費です。その生産性が1.5倍になるなら、社員ひとりあたり3万円の労働装備投資など造作もない出費です。

もちろん最初のうちは

「一部の部署で試験的に導入しよう」

という感じで始まるでしょう。使い始めるのも職場の若手だけで、中高年社員の多くはきょとんという目でそれを眺めているかもしれません。その結果、あっという間に若手社員の仕事の生産性が上がるでしょう。

これと同じデジャヴのような経験を思い出しました。

もう40年も前の思い出ですが、コンサルティングファームでの私の新入社員時代にこんなことがありました。コンサルの若手社員はクライアントから受け取った数字を足したり割ったりして分析するのが仕事です。まだ電卓全盛の時代に同僚のひとりが自腹でアップルのマッキントッシュを購入して職場に持ち込みました。1980年代、まだそういうことが許された緩やかな時代です。

それでエクセルを使うと仕事が早く終わることに気づいたのです。彼だけ早く帰宅できるようになってすぐ、若手コンサルの間でマッキントッシュを会社に持ち込むことが流行しました。上司は電卓で分析をした世代なので、若手がさくさくと仕事をこなしても技術革新には気づきません。