「生の天皇皇后両陛下」に感激する人々

またアメリカやアフリカの方、中東や南アジアの方もおり、きわめて多国籍でした。

アメリカ人はイギリスの王室が大好きですが、日本の皇室にも大変興味を持っています。やはり自国にはない伝統文化があるので、とても惹かれるものがあるのです。意外に思われるかもしれませんが、中東の方々も日本の皇室や神道に興味があります。

これは中東の方々が自国の王族や宗教を大事に思っているので、他国の類似の存在にも興味を持ってくださっている、ということでしょう。

中東や北アフリカの方々は日本に来ると神社や仏閣を熱心に見学される方も多いのです。知的なイスラム教徒の方々は大変心が広く、神道や仏教にむしろオープンなことも多いです。

私は近くにいたイタリア人の60代のおじ様とその娘さん、息子さんにイタリア語で話しかけ雑談をしたのですが、とくにお父様の皇室に対する興味は大変なものでした。

天皇陛下のお名前から上皇様、昭和天皇のお名前や「どこに住んでいるか」「雅子様はどんな人か」「京都に旅行したいかどうか」「温泉に行きたいのだが」といった日本旅行の話にまで話題が広がり、パレードを見るよりもおしゃべりのほうが多忙になってしまいました。しかしこのご一家に限らず周りの人々も「天皇皇后両陛下にお目にかかれたこと」に感激していた様子でした。

2015年4月11日 西衛門石橋を前面に見た東京の皇居の眺め
写真=iStock.com/golaizola
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「王室が現存している国」は実は少ない

なぜそうなるのかというと、そもそも世界には「王室が現存している国」なんて限られているからです。欧州大陸の場合は革命や社会の変化によりなくなってしまった国が多いですし、そもそも元植民地だったアメリカやカナダには王室がありません。

アジアや南アジアの場合はやはり政変などで王朝が崩壊してしまっています。南米もアフリカも植民地だらけですから王室がありません。

つまり数百年~千年近い単位で王室が継続されている国は本当に珍しいのです。

西洋列強の植民地にならなかった国は、ある意味特殊なのだとわかりますね。