ニュースや情報番組でも使われる「伝え方のセオリー」とは
テレビ番組は、常に視聴者を意識しながら構成を考えています。
リモコンのボタン1つで、「いつでも」「一瞬で」チャンネルを替えることができるため、最初から最後まで興味をひき続けられるような構成が求められます。
そのため、テレビ番組では、重要なことや面白いことから順に伝えていくことをセオリーにしています。
ニュースや情報番組は、冒頭で概要や結果を伝え、バラエティ番組でも最初に強いネタを持ってきます。このセオリーは説明においても鉄則です。
実際に説明する順番の決め方をケーススタディで考えてみましょう。
次のシーンは、取引先に挨拶に行ったときの場面です。
「あのー、先日弊社に発注いただいた機材について、ご報告なのですが……まず、この度、これまでお世話になっていた営業担当のAが異動になりまして、代わりにウチのエースといわれるBが担当させていただくことになりました。担当変更については、特にご心配いただく必要はないのですが、強いて言うならAが異動と同時に元々新婚旅行の予定を入れておりまして、引き継ぎに時間がかかる状況ではございますが、できるだけ速やかに行います。ただ、御社の指定された納期の期日には確実に間に合うので全く問題もございませんし、何かありましたら営業部全体でサポートさせていただきますので、そこはご安心ください。一方で、嬉しいお知らせなのですが、価格のほうが見直しできそうで、2割程度の値引きが可能になりそうな状況ですので、ご期待いただければと思います」
この例は、伝えたい要素が複数あるために、話の趣旨がよく分からない状態になっています。これを整理して伝わりやすい形に修正していきましょう。
まずは要点を整理し、全体像から結論をまとめる
まずは、重要度の高い項目をピックアップしていきます。
この説明の伝えたい要素を抜き出すと次のようになります。
・営業担当がAからBに変更
・納期は予定通り
・サポートは引き続きしっかりする
・価格は2割引きが可能になりそう
この中で、聞き手がもっとも興味がありそうなのは、やはり嬉しいニュースでしょう。
ということで、価格の話を最初にするべきです。
その後で、担当者の変更や納期の件を伝えます。
また、Aさんの個人的な話や引き継ぎに時間がかかっているなどの自社都合の話は、説明の途中に挟むと分かりにくくなります。ここは削除して要点だけにします。
難しいのは、結論部分が1つではないこと。
今回は概要報告のため、最初の結論は全体像について話します。
そして、最後は決意表明がよいでしょう。
以上を踏まえて、最初の文章を整理すると次のようになります。
「先日弊社に発注いただいた機材について、2点ご報告させていただきます。まず、1点目は嬉しいニュースです。価格についてですが、弊社で検討した結果、2割程度のお値引きが可能になりそうです。そして2点目は、担当者変更のお知らせです。これまでお世話になっていた御社の営業担当のAが異動になりまして、Bが担当させていただきます。引き継ぎに伴うサービスや納期の変更などは全くございませんのでご安心ください。引き続き、Bを中心に、営業部全体で精いっぱいサポートさせていただきますので、何卒どうぞよろしくお願いいたします」
要点が整理されて、ずいぶん分かりやすくなったと思います。