世界のエグゼクティブは「休む」ために仕事をしている

世界のトップクラスのビジネスパーソンとの交流の中で、私が最もインパクトを受けたのが、彼らの休日を大事にしている姿勢です。

日本のビジネスパーソンは、休日を休息の時間と考えて、平日の疲れを癒すことを優先しがちですが、彼らにとっては、休日こそが主役であり、平日の仕事は大事な休日のためにある……と考えているのです。

「休みにヨットやスキーをやっているのではない。ヨットやスキーをやるために、働いているんだ」と話すなど、エグゼクティブは仕事よりも休日の楽しみを優先して考えており、ハッキリと「仕事は究極の暇つぶし」と言い切る人もいます。

日本企業のエリートが同じことを言ったら、「遊び半分で仕事をしている」と猛烈なバッシングを受けるかもしれませんが、欧米のグローバル企業の場合は、「それはそうだよね」と好意的に受け取れられています。

カレンダーに赤いペンで書き込まれたHolidayの文字
写真=iStock.com/Dragon Claws
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日本と欧米では、休日に対する考え方が根本的に異なるのです。

こうした考え方の違いは、歴史的、文化的な背景も関係しています。

欧米では、個人の自由と権利を尊重する風潮が根付いており、労働者の権利もしっかりと法律で保護されています。

フランス人「最も大切にしているのが家族で、その次がバカンス」

例えば、フランスでは労働者の権利として年間5週間の年次休暇(バカンス)を取らせる義務が雇用主に課せられています。

2019年からは、雇用主が従業員に有給休暇を取得させることが義務化され、現時点での消化率は100%となっています。

フランス人は「最も大切にしているのが家族で、その次がバカンス」といわれるほど、休みを重要視する国民性で知られており、どんなに多忙なビジネスパーソンであっても、毎年必ず長期休暇を取得するのが一般的です。

これに対して、日本には「集団の和」を重んじる文化がありますから、個人の休暇取得が難しい職場環境も珍しくありません。

有給休暇の取得は会社やチームの状況次第となることが多く、休暇を申請したら上司に嫌な顔をされたとか、上司の顔色を見て休みを諦めたという経験は、誰でも一度はあると思います。

働き方改革が始まった令和の時代になっても、休むことに対して、何となく「後ろめたさ」や「申し訳ない気持ち」を感じている人が多いのが実情といえます。