「元モーレツ社員」が週休3日制・週30時間労働になった理由

エグゼクティブの「休みのために仕事をする」という姿勢を目の当たりにして、最初は私も戸惑いました。

戸惑ったというよりも、彼らの考え方や行動に、カルチャーショックを受けたという方が正確かもしれません。

現在の私は、週休3日制、週30時間労働を基本にしていますが、もともとは寝る間も惜しんで仕事をするのが好きな「休みたくない派」の仕事人間でした。

深夜のオフィスで仕事をするビジネスマン
写真=iStock.com/onuma Inthapong
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徹夜で仕事をして、アドレナリン(闘争ホルモン)が出るのを楽しむタイプの典型的な「モーレツ社員」だったのです。

働けば働くほど成果が出る……と信じていた私は、連日の長時間労働が楽しくて仕方なく、休日返上で仕事をする毎日を送っていましたが、新卒で入社した国内通信会社で5年目を迎えた29歳のときと、マイクロソフトで執行役員を務めていた39歳のときに心身のバランスを崩してダウンしてしまいました。

医師の診断によると、原因はどちらも過労と睡眠不足とのことでした。

日本人は疲れてから休み、世界の一流は疲れる前に休む

当時の私は「仕事がダメになったら、自分の人生は終わり」くらいに思い込んで、無我夢中で仕事と向き合っていましたが、二度目のダウンで弱気になっているときに着目したのが、私の目には「能天気」と映っていたエグゼクティブたちの働き方です。

彼らの行動を観察していると、疲れたら休むのではなく、疲れる前に休むという「温存戦略」を徹底していることがわかりました。

日本のビジネスパーソンの多くは、仕事の進捗状況と相談しながら、「今週は休めそうだな」とか「この感じだと休日出勤だな」と判断していますが、彼らは週末に休むことを前提にして、仕事の効率を高めています。

休めたら休むのではなく、休むために仕事をしているから、自然とハイパフォーマンスを発揮できるだけでなく、疲れが蓄積する前に休むことができるのです。

疲れるまで自分を追い込んでしまうと、リカバリー(回復)に時間がかかるだけでなく、私のようにダウンするリスクがあります。

結果的に仕事がストップしてしまうのですから、自分を必要以上に追い込んでも、あまりいい結果は生まれない……ということに改めて気づかされました。