必ず書類やメールに取引を記録すべき

そして、BさんがAさんから受け取ったあと、その金をどのように取り扱ったのかを立証する必要があります。本当に運用して利幅をバックしようと思っていた場合は、やはり詐欺にならないですよね。

すべての証拠をこつこつ積み重ねて、事件全体の概要が初めて「詐欺である」と断定できるんです。

――被害者から相談を受けた事案のなかで、「これは立証が無理だ」と判断したケースはあるでしょうか。

ありますよ。たとえば、すべて口頭で行われていて、証拠がまったくないケースの場合は、残念ながら依頼を受けてもお断りしています。金銭授受も手渡して、契約書の類も一切ない場合は、手出しができません。ですから、どれほど相手を信頼していても、やり取りを書類やメールに残すなど、取引を記録することは非常に重要なんです。

詐欺は「投資詐欺」と「副業詐欺」が大多数

――「これは詐欺ではないか」と気づくポイントになるようなものがあれば、教えてください。

近頃は、投資詐欺と副業詐欺が非常に多くなっています。おおよそこの2つに大別できると言っても過言ではありません。「投資に興味ないか?」「副業を始めてみない?」と誘われたら、少し警戒したほうがいいかもしれません。

特に多いのは、SNSを通じて、知らない人から投資などの案件を持ちかけられることです。このように言うと「そんな馬鹿な。まさか引っかかるわけない」と考える人は多いと思います。しかし、現実には多くの人たちが引っかかっているんです。

詐欺師たちは巧みに被害者を騙します。共通するのは、SNSなどで高級車の写真をあげていたり、札束を載せていたり、とにかく“羽振りのよさ”をアピールすることです。そして、自分が成功したという実績を見せつけたうえで、被害者を勧誘します。

その際、「自分の言う通りにお金を動かせば必ず儲かる」という趣旨のことを吹聴します。また、必ず「教材費」などの初期投資が必要となってくることも特徴ではないかと思います。

インターネットで詐欺をする男
写真=iStock.com/takasuu
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