〆切に追われない最高の方法――原稿は依頼される前に書いておく

〆切に追われない一番の方法は、「原稿を依頼される前に書いておくこと」です。

この方法を実践している作家たちは、その計画性と先見性によって驚異的な成果を上げています。具体的な例をあげてみましょう。

たとえば、ハーレクイン・ロマンスの著者として有名なバーバラ・カートランドは、この方法をきわめた一人です。彼女は非常に多作で、生涯に723冊の本を書きました。

彼女の執筆スピードは伝説的で、一日中タイプライターに向かって書き続けることもありました。原稿のストックがあることで、〆切のプレッシャーから解放され、常に高い生産性を維持することができたのです。

本田健『作家とお金』(きずな出版)
本田健『作家とお金』(きずな出版)

前に紹介した、現代のベストセラー作家であるスティーヴン・キングも、このアプローチを実践しています。キングは、常に次の作品のアイデアをあたためておき、執筆に取りかかる前に詳細なプロットを作成することで知られています。彼の著書『OnWriting』では、「執筆が依頼される前に、原稿を書いておくことの重要性」が語られています。

イギリスの児童文学の巨匠エニッド・ブライトンも、この方法を極めた一人です。ブライトンは非常に多作で、750冊以上の本を書きました。彼女は常に複数の原稿をストックしておくことで、出版社からの依頼に即座に応えることができました。

日本の池波正太郎も、先に原稿を書き溜めておくことの重要性を強調しています。池波は毎日一定の時間を執筆にあてていました。アイデアが浮かんだときにはすぐにメモをとり、あとでそのメモをもとに作品を執筆します。これにより、彼は常に複数のプロジェクトを進行させ、作品を次々と仕上げることができました。

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