子供時代の失敗経験が少ないと受験に弱い

それでも、そのリスクを取ってでも「東大を受験しよう」と考える人は、どういう人なのか。それは、「挑戦すること自体に価値があり、失敗したとしても無駄になるわけではなく、自分が成長するチャンスになる」ということを理解している人なのだと思います。

そういう人は、果敢に挑戦することができ、のびのび勉強できて、かつ「不合格になったらどうしよう」と考えて緊張してしまうことも少ないです。模試で点数が悪くても「この失敗から学ばなければ」と考えてしっかりダメだったポイントを分析できます。

このように、「失敗にも意味がある」と思える人の方が、努力して成長を続けることができるのです。

逆に、大学受験に弱い受験生の特徴は、「子供の頃の失敗経験が少ない人」です。小さい頃に失敗した経験が少ないと、ちょっとした失敗を許容できず、簡単に「もうダメだ」と考えてしまうことが多いです。

問題を解けずに頭を抱えている女子学生
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです

例えば模試の点数が思った以上に低かった時に、その失敗となかなか向き合えず、ショックを受けて勉強が手に付かなくなってしまったり、その結果を直視できずに「どこがダメだったのか」の分析をおろそかにしてしまいます。

多少の失敗は、「小さな失敗」です。ちょっとテストが目標点数に足りていなかったとか、模試の順位が低かったとか、そんなことは些細な問題でしかないのです。

「成功の数」より「挑戦の数」

本当に恐ろしいのは、「小さな失敗」を恐れすぎるあまり、挑戦せず、低い目標のままでずっと推移してしまうことです。挑戦をしないことの方がよっぽど、「大きな失敗」だと言えるのではないでしょうか。

「自然に育った農作物は病気に強いが、無菌室で育った農作物は病気に極度に弱い」と言います。挑戦から遠ざけられ続けた子供は、挑戦にどんどん弱くなっていってしまうわけです。

重要なのは、失敗してもいいから、子供の時から何度も「挑戦」をさせることです。それも、「成功しそうな挑戦」ではなく、「失敗するかもしれない挑戦」に果敢にチャレンジしてもらうことです。

どんなことでも1位を目指させたり、ちょっとした勝負事でも本気になるように言ったり、手を抜いているなと思ったらそれを指摘したりする。「成功」の数ではなく「挑戦」の数が多くなるような指導をしていくのです。

そうすると、子供はどんどん成長の機会を得ることができ、他の生徒よりも強くたくましくなっていきます。そしてそういう生徒は、大人になってからも、大学受験以外の場でも、スポーツでも資格試験でも、就職でもビジネスでも、頑張ろうという気持ちが湧いてくることになると思います。ぜひ、参考にしてみてください。

【関連記事】
「親がお金持ちだから」ではない…「頭がいい子」が育つ家庭に共通する"親子のシンプルな習慣"
「勉強しなさい‼」と命令するよりずっと効果的…現役東大生に聞いた「頭のいい子が育つ家庭」の常識
「うちの子、布団から出られなくなっちゃって…」子育ての専門家が見た、悩む親ほどやっていない"習慣"
東大の入試問題を見れば「頭のいい子」の条件がわかる…名門進学校の教諭が最も重視する"学力以外"の能力
「しっかりノートをとり、メモを習慣化」はほぼ無意味…仕事のデキる人がやる「世間の常識」を覆す仕事術