※本稿は、菊池洋匡、こしいみほ『マンガで即わかる!学力があと伸びする子の親が大切にしていること』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。
子どもがYouTubeを見てばかりで心配…
「テレビやYouTubeなどの動画を子どもに見せることに罪悪感を感じる」というご相談をよくされます。動画を見てばかりだと、子どもの頭が悪くなるんじゃないか、と心配になりますよね。
確かに、その心配は当たっています。研究によっても、テレビを長時間見ている子は言語や認知機能の発達が悪くなる傾向があると知られています。例えば、ニュージーランドで行われた、1000人もの子どもを26歳まで追跡調査した研究では、小児期(5~11歳)および青年期(13~15歳)において、テレビ視聴は教育成績に悪影響があったことが確認されました。
だからといって、スマホやタブレットが普及し、動画メディアがあふれる現代社会で、それらをすべて制限するのは難しい話です。共働きで両親どちらも忙しい家庭では、そうしたデバイス・メディアが子守りの役割を担っている現実もあります。そこでオススメしたいのが、動画内容について親子で会話をすること。
動画を「成績アップ」につなげる方法
動画メディアの視聴により成績が低下する理由として考えられるのが、受動的な視聴で子どもの好奇心が低下することです。実際に、5100人の幼児を対象とした調査でも、1日のテレビ視聴時間が長いほど、幼稚園での好奇心の低下につながっていたことが示されました。好奇心が低い子ほど語彙が少なく、学ぶことに興味を示さず、学業成績が悪い傾向があります。こうしたつながりにより、動画メディアの視聴で成績が低下するのではないか、とうかがわれます。
しかし、同研究によると、テレビ視聴中に親とよく会話する子ほど、好奇心のレベルが高かったことも示されました。このことから、内容について考え、他の人と会話するきっかけとして動画を使うと、「好奇心アップ→成績アップ」につなげられるのではないか、と考えられます。視聴中ではなく、事後的な会話だと効果が落ちるかもしれませんが、少なくとも話の内容をまとめたり、感想を言ったりすることは言葉の学習としても効果的なので、ぜひやってみましょう。