メガネ屋さんで老眼鏡をつくったほうが「お得」
そもそも「100円老眼鏡」の度数が、あなたにぴったり合っているかどうかは疑問です。数種類の度数から選べる商品もありますが「なんとなく合っている気がするもの」をカンで選ぶわけでしょう?
「100円老眼鏡」をしょっちゅう利用していると、そのたびに目に負担がかかり、目の老化が余計に進み、老眼の進行がより加速しかねません。
「度数調整ができる老眼鏡」もあります。メガネと目の距離を調整できるダイヤルがついていて、それを回すことで度数が変えられるという商品です。
確かに度数は変えられますが、そもそも度数を頻繁に変える必要はありません。
それより、メガネ屋さんで自分に合った度数の老眼鏡をつくったほうがお得です。
また「100円老眼鏡」にせよ「度数調整ができる老眼鏡」にせよ、乱視の補正などはできません。眼科の処方箋をもとに、メガネ屋さんできちんとつくれば、乱視の補正もしっかりと行ってくれます。それは大きな差ですよね。
「近視の人は老眼にならない」に医学的な根拠なし
テレビCMで世間を賑わせたルーペ(拡大鏡)も、長時間の使用に推奨はできません。
そもそも、老眼鏡とルーペでは使用目的がまったく異なります。
ルーペの機能とは「拡大すること」だけです。
たとえば、少しぼやけて判別しにくい小さな文字があったとします。
これをルーペで拡大すると、文字が大きく視えるので、小さいときよりも確かに判別はしやすくなります。
しかし、このぼやけた文字を判別する作業は脳で行われます。
つまり脳に余計な負荷をかけてしまいます。
トレーニングとしてぼやけたものを短時間視るのはよいのですが、長時間ぼやけたものを視ていると、ぼやけた画像を正しく読み取れるように脳が“補正処理”を続けないといけないため、眼精疲労の原因になります。
目のパフォーマンスも脳のパフォーマンスも落ちてしまいます。
また、「近視の人は老眼にならない」という俗説に、医学的な根拠はありません。
近視の人はもともとピントが合う範囲が近方にあるため、老眼になってピントが合う範囲が狭くなっても、初めの頃は「近くが視えにくい」と感じにくいのです。
ただ、眼鏡などで矯正した状態では、一般の人と同様に手元が視えにくくなります。
ですから、近視があって「手元を視るときは眼鏡を外すようになった」という人は、老眼になっていると考えたほうがいいでしょう。
酷に聞こえるかもしれませんが、近視があろうがなかろうが、老眼からは誰も逃れられません。
でも「視え方」を正しく矯正することで、人生を好転させることはできます。
【参考文献】アイフレイル啓発公式サイト