雑談の楽しみを一瞬で壊してしまう言葉

うまく雑談できる人は「具体的には?」と聞き、
できない人は「人それぞれだから」と言う。

「やっぱり本を読むならビジネス書だね」
「いやいや、人生の幅を広げるなら小説に限るよ」

雑談で盛り上がっているときに、こんなふうに水を差す人がいませんか?

「まあ、人それぞれだから、とやかく言うのは違うんじゃない?」

ビジネス書を推す人も、小説を推す人も、人それぞれの好みや考え方があることは十分承知のはず。それを踏まえた上で雑談を楽しんでいるわけです。

それを一瞬で壊してしまう言葉が、「人それぞれ」です。

抽象度の高い概念を持ち出したら、雑談は続きません。

「お仕事は何をされているんですか?」
「はい、会社員です」

こちらも同様です。

「あまり話したくないのだな」と思われて雑談が盛り上がりません。

「課長、こんなときにどうしたらいいでしょう?」
「うーん、その時のケースによるね」

こんなことしか言わない上司も同様です。

聞いても当てにならないと思われて、相談されなくなります。

以上のように抽象度の高い話にしてしまうと、雑談は盛り上がりません。

雑談をうまくできる人は、具体的なエピソードや、事例を大事にします。

また、あいまいで抽象的なことを言われたら、具体化していく質問をすることで、話の取っ掛かりをつくり、話を広げていくこともできます。

あいまいな回答には、質問で情報を深堀りしていく

聞き手「お仕事は何をされているんですか?」
話し手「はい、会社員です」
聞き手「会社員をされているんですね。具体的にはどんな?」
話し手「ええと、経理の仕事を」
聞き手「誠実な感じがまさに経理の方という感じですね! 一生食いっぱぐれがなさそうですね」
話し手「いえいえ、そんなことはないですよ~。というのは……」

こんなふうに、あいまいな回答には、

「具体的には?」「と言いますと?」「たとえば?」

などの深堀りの質問が必須です。

深堀りをしていくことで、情報が具体化されると、自然に次々と質問したいことも増えていきます。

「相手のことを知れば知るほど好きになる」という状態を、「熟知性の法則」と呼びます。逆に考えると、相手のことを知らないから無関心になるわけです。

人気者に、人と関わるのが嫌いという人はいません。

松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)
松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)

「人気」という漢字は、人の気を集めることを言います。他人を好きにならないけど、自分を好きになってくれというのは無理な話です。

人に対して好奇心があり、他人に興味を持ち、いろいろと相手のことを理解する努力をする人は、自分から人に好意を持ちやすいです。ですから他人からも好意が返ってきます。

とにかく具体的な話を引き出していきましょう。

自然に相手に対してどんどん好意を持てるようになるでしょう。

そして人気も集まっていくでしょう。

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