夫という人間の正体
夫から不倫を告白された後、白柳さんは数日間の記憶がない。今まで疑いもしなかった事実を突きつけられ、夫の言ったことが信じられずにいた。そして告白から2日ほど経った後、再び夫に話を聞く。すると、
・相手は会社の人
・2人で会うのは週1回もないくらい
・肉体関係がある
「あとは言えない」という。
白柳さんが相手の名前と連絡先を聞くと、「迷惑がかかる。彼女のことが大事なんだ。俺が全部悪い」と言って断られる。
翌日から白柳さんは、夫の不倫の事実集めを始めた。夫が不倫をしているということがいまだに信じられなかったからだった。
家族が寝静まった後に財布やカバンを漁ると、コンドーム2個、風俗店のポイントカード3枚(1枚はVIP)、口臭スプレー3本、可愛い飾りのついたヘアピン、そしてキーケースには、どこかのアパートの鍵がついていた。さらにクローゼットの夫のリュックからは大量のAVと風俗店関連品……。
白柳さんは、夫が結婚前から風俗店にたびたび通っていたことは知っていた。
「風俗は浮気か否かという論争には決着がつかないと思います。が、結婚前、私は夫の『正式なパートナーがいても他の人とセックスできてしまう』性質をもっと真剣に考えるべきでした。結婚直前で『物わかりの良い妻』を演じたくてスルーしてしまったのが悔やまれます」
白柳さん夫婦は、長女を緊急帝王切開で出産してから、医師が「もう大丈夫ですよ」と許可しても、夫が「傷が開いたら怖い」と言い、セックスレスになっていた。
白柳さんは産後に夜に自分から夫を求めたこともあった。だが夫からは手を振り払われたり、怒声をあげられたりして拒絶された。出産後も自分磨きを怠らなかった白柳さんは、深く傷ついていた。
不倫の物的証拠や夫という人間を美化しすぎていた現実を目の当たりにした白柳さんは、前へ進むことを決意。ボイスレコーダーを購入し、自治体主催の「無料弁護士相談会」に申し込む。弁護士に相談し、探偵・興信所に依頼することを勧められると、費用が高額なため悩んだ。そこで調べた探偵事務所に連絡し、とりあえず会って話を聞いてみることにした。