「高配当株」「増配株」を選ぶ3つのポイント

安定した配当を“継続的”に出せる優良な「高配当株」「増配株」をサクッと選ぶには、次の3つのポイントで絞るのがおすすめです。

①配当利回りは「2%以上」で検索

単に「3%以上」で検索すると、“優良”銘柄が見つけられなくなってしまいます。先ほどお伝えしたような、連続増配を続けて実質的な配当利回りが10%を超えるような銘柄を取り逃すことになるからです。そこで「2%以上」で検索し、そのなかから銘柄を探していきましょう。

②「連続増配」「非減配」で抽出

必ずしも増配しているから業績が良いということではありませんが、少なくとも毎年増配している銘柄は、企業の業績が右肩上がりで成長している可能性が高いといえます。また、増配はしていなくても減配していないかどうかも重要です。長期的に減配せず増配や配当金を維持する銘柄を「累進配当銘柄」と言います。

最近では累進配当を表明する企業もあります。数年先まで受け取れる最低限の配当金を予想することができるので、安心感があります。

③配当性向は30〜50%が目安

配当性向が高ければ、株主に対して多くの利益を還元していることになります。だからといって配当性向が高いほど良いかというと、そういうわけではありません。

利益は、設備や研究開発などに投資することで、企業の成長を促します。そのため、株主にアピールするためだけに配当性向を高くしているような企業は、研究開発や人材確保にコストをかけられず、事業拡大の好機を逃しているかもしれません。

逆に、配当性向が低いからといって、株主還元意識が低いとは限りません。企業が成長するには投資が必要であり、事業拡大のために投資を行えば、配当性向は低くなります。つまり、配当性向が低い企業は今後成長の余地があり、将来的に利益が増えれば増配にも期待できるわけです。

配当性向は業界によって平均値に差がありますが、30~50%くらいを目安にしておくとよいでしょう。

高配当株ファンドで分散投資効果を得る方法も

高配当株投資でリスクを下げるには、値動きの異なる業種や銘柄に分散投資することが大切です。複数の高配当株にまとめて投資している高配当株ファンドを利用すると、1本のファンドで複数の高配当株に投資したのと同様の効果が得られます。

「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.099%]や「Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」[信託報酬:年0.10725%]はいずれも日本の高配当株に低コストで投資可能な投資信託です。組入銘柄の平均配当利回りは3〜4%と高水準です。

新NISAのつみたて投資枠で高配当株ファンドに投資したいならば、「日経平均高配当利回り株ファンド」[信託報酬:年0.693%]があります。保有コストが若干高いのがネックですが、5年トータルリターンが年率17.59%、分配金利回り3.03%と申し分ないパフォーマンスなので、有力な投資候補となるでしょう。数字は2024年9月13日時点です。

米国の高配当株や増配株に低コストで分散投資したいならば、「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.1238%]、「SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.1238%]などがあります。

また、2024年9月27日に運用開始の「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」[信託報酬:年0.132%]も注目です。こちらは「シュワブ・米国配当株式ETF(SCHD)」に投資して配当収益の確保と中長期的な値上がり益の獲得をめざす投資信託ですが、SCHDは高配当株ETFとして投資家に人気のある商品です。

本稿が60歳からの投資戦略のご参考になれば幸いです。

*本記事で紹介した個別銘柄については、あくまでも参考として申し述べたものです。投資の最終決定は各自の責任でお願いいたします。

【関連記事】
毎月2万円以下なら「オルカン」と「S&P500」はお勧めしない…新NISAで「素人が本当に買うべき金融商品」とは
新NISAとiDeCoで運用するならコレ…京大名誉教授が「本当におすすめできる」と話す投資信託2種
年金は65歳からもらうのが最善…72歳・現役FPが「4割増を目当てに70歳繰り下げは危険」と断言するワケ
「株価がまた下がるのではないか」恐怖に襲われた新NISAデビュー組がいま絶対にしてはいけないNG行動
「老後2000万円問題」は3年で「老後55万円問題」になった…年金不安をあおるマスコミが使った「数字のカラクリ」