注意が必要な「為替リスク」

また、「S&P500」は、そのアメリカ株そのものに投資するものですから、もしS&P500「だけ」に投資をしていると、アメリカ株と心中することになり極めてリスクが高いと言わざるを得ません。

加えて、アメリカ株偏重の場合、「為替リスク」にも注意が必要です。アメリカ株への投資は、円をドルに換えて行っているため、ドルが高くなればアメリカ株の価値は上がり、逆に円高になれば下がることになります。

アメリカ株が今後も好調とは限らない

ここ数年は米国市場に世界から資金が集中してきました。このお金はどこから来たのかと言えば、特に直近ではコロナ・パンデミックの際、各国が緊急事態を乗り切るためにお金を大量に刷りばらまいたその資金が、結果的に米国市場での投資に回ったのが主な原因です。

資金が過度に一つの株式市場に流れ込むと何が起こるのか。本来の企業価値を上回って株が買われてしまうために、適正な価格よりも株価がどんどん上昇していき、いわゆる実態なきバブル状態になっていきます。

印刷される100ドル札
写真=iStock.com/MicroStockHub
各国がお金を大量に刷りばら撒いた(※写真はイメージです)

例えばアメリカを代表する会社の一つであるテスラの株価評価は、トヨタの2~3倍も高く評価されています。もちろん、EVで先行するテスラの将来性を見込んで株価が評価されているという見方もできますが、依然として世界の自動車販売台数で圧倒的首位のトヨタよりもテスラの方が2倍も3倍も上に評価されている、ということに違和感を覚えるのは私だけでしょうか。

アメリカ株がいわゆる「バブル」の状態にまでなっているかどうかは断言できませんが、もし流れが反転し、アメリカの株価が急落した場合のリスクについても、十分考慮する必要があると思われます。

その意味で、アメリカ株一辺倒のポートフォリオは私はお薦めできません。