投資初心者は、今後も可能性がある大幅な株価下落時にどんな心構えでいたらいいのか。8月5日の株価暴落直後、iDeCoや新NISAなどの投資を始めて間もない「にわか投資家」たちが助けを求めた家計再生コンサルタントのFP横山光昭さんは「絶対してはいけないのは、パニック売り、SNSを見ること、金融機関に相談に行くことだ」という――。
新札で一千万円の束二つ
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にわか投資家が陥りがちな4つの穴

「500万円もあった利益が60万円弱まで激減してしまいました。大事な老後資金なのに……どうしたらいいんでしょうか」

8月5日の大暴落直後、私どもの事務所に慌てて駆け込んできたのは、投資歴1年半目の山田昭仁さん(仮名・58歳・会社員)でした。利益500万円が60万円弱へ落ちた瞬間、約9割が消えてしまい、その顔は見るからに狼狽し、目は潤んでいました。

山田さんは昨春、一人息子が独立し、老後に向けて資産を増やすべく、1年半前から日本株を中心にNISA(新NISA)やiDeCoで投資を始めていました。

投資資金は、30年以上コツコツ貯めてきた1500万円の貯金から。最初は月2万円の少額積立でスタートしたものの、成長投資枠で買った日本株や積み立て投資枠のインデックス投信が調子よく増えていくのを見て、「なんだ、投資って案外余裕。もっとリスクをとって投資すれば増えそうだな」と考え、積立投資額を月2万円から3万~4万円へ少しずつ増やし、さらには追加で成長投資枠で個別株へのスポット投資にどんどん投下。気づけばこの1年半で1500万円の貯金のうち1000万円を投資につぎ込み、手持ちのキャッシュを短期間にバーンと投資に移動させたわけです。

ここで、山田さんの例をもとに、投資初心者が取ってしまいがちなNG行為を4点申し上げましょう。