お金の使い方にはその人の心の闇が潜んでいる。パート勤務で夫と高2の息子と住む40歳女性は家計を預かっているが、手取り世帯月収45万円にもかかわらず、毎月5万円超の赤字だ。家計再生コンサルタントでFPの横山光昭さんに相談すると、食事に14万円、自分の習い事費に6万円もの額を費やしてしまう理由が浮き彫りになった――。
卵かけごはん
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値引きシールつきの「ちょっといいもの買い」が日課

「家計は毎月赤字。だから節約しよう、家計簿もがんばろうと思うのに、どうしても続けられない。自分の何がダメなのでしょうか?」

こう言って、客観的なアドバイスを求めてこられたのは、パートで働く古川マイさん(仮名・40歳)。夫(42歳・会社員)と一人息子(高校2年生)の3人で茨城県の賃貸アパートに住んでいます。

早速家計の状況をヒアリングしようとしましたが、本人も把握できていない部分が多く、分かったのはざっくりとした収支だけ。手取りの世帯月収は45万円で毎月5万円以上の赤字が出ており、その補填にボーナス用の預貯金口座(380万円)から毎月5万~6万円引き出していました。

大まかにはわかるけれど細かく支出を把握できない理由は何なのか。家計簿を続けられない原因は? と問うと、「とにかく毎日買い物に行っちゃって、レシートがどんどん増えていく。その山を見ただけで、心が折れてしまって……」との答え。

聞けば、マイさんは平日のパート帰りに、スーパーに寄るのが日課でした。買い物の回数が増えると、無駄遣いの機会も増えるのは自然なことなので、「赤字を脱出したいなら、買い物は1日おきにするなど少しずつ減らしてみては?」と提案すると――。

「でも、スーパーに寄るのは仕事帰りの楽しみなんです。というのも、夕方に行くと、ちょっといいものが割引になってるんです。無添加のソーセージ、ブランド店の漬け魚、こだわり産地の国産納豆など。たまに、卵かけごはん専用のお醤油とか、高級だしのもとといった珍しい調味料などが10%引きになっていると、すごく得した気分で買い物カゴに入れちゃいます。その瞬間、ドーパミンが出ているかもってくらい気分が高揚するんです」(マイさん)

目を輝かせ、買い物時の話をしてくれたマイさん。要は、賞味期限間近の値引き品をチェックするのが日々の楽しみということですが、限られた期限内に100%消費できているのでしょうか。

答えはNO。

「夫は仕事が多忙で、月によっては半分以上出張で不在が続くこともあります。出張がない日も深夜帰宅が多く、朝しか食べません。昨日、卵かけごはん専用のしょう油を出したら『賞味期限が切れているじゃないか』と拒否されました。息子も、寝坊して朝食抜きで学校に行くことが多い。そうこうしているうちに、賞味期限ギリギリの調味料などは、ほとんど使わないうちに捨てることになってしまう」(マイさん)

見切り品=賞味期限間近、つまり浪費予備軍。それを痛感しつつも、割引シールを見ると、つい手が伸びてしまうのだというマイさん。