石破茂氏が自民総裁選で選出された直後に日経平均先物や日経平均株価が下落。政権の本格スタートで個人投資家は今後、どう対処すればいいのか。資産1億8000万円の投資家・桶井道さんは「“石破ショック”を過度に恐れる必要はありません。石破総理は、岸田氏の構想“資産運用立国”の踏襲を打ち出しており、石破政権でも伸びる期待が持てる分野もある」という――。
自民党総裁選の選対会合で、「必勝」パンを手に笑顔を見せる石破茂氏=2024年9月27日午前8時35分、国会
写真提供=共同通信社
自民党総裁選の選対会合で、「必勝」パンを手に笑顔を見せる石破茂氏=2024年9月27日午前8時35分、国会

いきなりの石破ショック…政権下の最善最強の投資とは

石破茂氏が自民党総裁、そして内閣総理大臣に就任しました。9月27日には自民党総裁選挙の結果が出た瞬間から日経平均先物が暴落し、週明け9月30日には日経平均株価は約1900円も下落しました。8月初旬の暴落から立ち直った日経平均株価が4万円を取り戻そうとしていたところで、この下落にショックを受けた方も多いと思います。早くも「石破ショック」なるネーミングが付いてしまいました。この記事では、石破政権下での投資戦略について書きます。

大丈夫です。まずは落ち着きましょう。日経平均株価は3万7000円~3万8000円台であり、前年対比すると高い位置にあります。2023年10月終値は3万858円でした。目先の株価の動きばかり追わずに、少しだけでも長いスパンで見直せば違った景色が見えてきます。投資とは、長期でするもので、今日明日のお金のためにするものではありません。

また、石破総理は、岸田路線である「資産運用立国」の踏襲を打ち出しています。安倍政権以降で醸成されてきた「貯蓄から投資へ」の流れに、氷水を浴びせることはしないと思います。臆測や噂を恐れずに、事実で判断していきましょう。

さらには、早々から「石破ショック」を起こしてしまった石破政権も、永久に続くわけではありません。政権誕生後、戦後最短で衆院解散・総選挙となりますので、この選挙結果次第では短命政権になる可能性もあります。いずれにせよ、石破政権も数年間のことです。

そして、投資では、マーケットベースではなくゴールベースで考えることが重要です。マーケットベースで短期目線になると「株価が下がっているから怖い、売って楽になりたい」と間違った考え方になります。ゴールベースで長期目線になると「株価が下がっているから、安く買うチャンス!」と思えます。物の見方もとても大切です。

したがいまして、投資家として、これまでやってきたことを変えることなく、自分のやり方で長期志向をもち淡々とやっていくことが基本路線だと思います。

ノールックというやり過ごし方も

今後は衆院選も控えており、不安定な相場が続くかもしれません。暴落する日もあるかもしれません。私が暴落相場で、特にお勧めしていることがあります。それは「ノールック」です。暴落相場では、暇さえあれば株価を見るのは絶対にやめてください。好調な相場なら、株価やポートフォリオを見る度にお金が増えて気分がいいかもしれませんが、暴落相場ではメンタルが削られます。見るとつらくなると分かっていながら、株価やポートフォリオを見る必要などないのです。日経平均株価やTOPIXなどの指数も、ポートフォリオも、個別株の株価も一切見ないでください。投資を考えている銘柄があるなら、その銘柄の株価だけ確認すればいいのです。これも指値しておけば、株価を追う必要がなくなります。

この先も、長期投資するなかで、金融ショックや暴落相場は必ず訪れます。8月上旬から今にかけての相場は、訓練だと思いましょう。少しずつタフな投資家になっていけるものです。私は平常心で何も感じていませんし、「石破ショック」とすら思ってもいません。みずからショックを受けるような行動をすすんで取らずに、下落相場、下落日は「ノールック」に徹しています。