調子がいいと「長期・つみたて・分散」の原則を忘れてしまう

① 短期間でキャッシュの大半を投資につぎ込む

それまでキャッシュしか持っていなかった人が、老後を目前に新NISAブームに乗って投資を始めた場合、利益がどんどん増えて行くのを見て、気づけば退職金など貯金の大半を投資につぎ込む人もいます。特に上昇しか知らない新NISA後に始めた人は相場の恐ろしさを知らず突っ走ってしまう傾向があるように思います。

② 運用商品がリスクのある個別株や投資商品の投資先が偏っている

投資先も日本株や米国株など投資対象の国や種類に偏りがある場合、リスクが増大します。山田さんもインデックス投信を保有していましたが、全体の割合で見れば少なく。投資商品が投資対象に偏りがありました。

③ リスク許容度を超えて投資している

株価が急落しても慌てず、「そのうち上がるだろう」とドンと構えることができればいいですが、それができないのは、リスク許容度を超えた投資をしている証です。いま一度、リスク許容度を見直すべきです。

④ 「利益でカバーすればよい」と考え、お金を使う

山田さんは、投資以前までの家計は順調だったのに投資実績がよいことで慢心し、家計が緩くなった。例えば、それまで食費は3人家族で6万~7万円に抑えていたのに、最近では8万円前後になる月も多いそう。山田さんのように、投資利益に比例するかのように、食費などが右肩上がりに増えてしまうご家庭も、少なくないのではないでしょうか。

【図表】メタボ家計BEFORE⇒AFTER

「使っても働いて稼いでカバーすればいい」と考える人は多いですが、投資が順調な時期が続くと、「稼ぐ」が「増える」に脳内で変換され、「どうせ“増える”からちょっとくらい使ってもいい」という思考になるのです。利益は必ずしも順調に伸びるとは限らないのに、です。