友達も、好きなタレントも使ってない

筆者は毎年大学の受講生対象にアンケートをとっている。1、2年生を中心とした男女比ほぼ半々の学生200~300人が対象だ。今年も調査したところ、Instagram(94.9%)、YouTube(97.4%)、X(80.5%)、TikTok(65.4%)、BeReal(55.1%)、Discord(19.1%)、Threads(12.5%)と多くのSNSを利用している。

ところがFacebookの利用者は全272人中わずか5人、何と1.8%に過ぎなかった。Facebookは、大学生にまったく使われていないのだ。

【図表1】大学生のSNS利用率
筆者アンケートを基に編集部作成

気になって、なぜ使わないのか大学生たちに聞いてみた。まとめると、ズバリ「使う理由がないから」だ。

大学生たちがSNSを使う理由は、「友達が使っているから」「面白そうだから」「流行っているから」などがほとんどだ。友達の近況が見たい、友達と同じものが使いたい、好きなタレントの投稿が見たい、流行っているものが使ってみたいという理由で使う。

InstagramやXは友達とつながり、好きなタレントの投稿を見るため、TikTokやBeRealは流行していて面白そうだから、みんなが使っているから。Discordはゲームのプレイ中に使うから、友達とのやり取りに便利だから。しかしFacebookは、このどれにも当てはまらない。

「なんでわざわざ実名で投稿するの?」

そもそも大学生世代はほとんどだれも使っていない。大学生に人気の芸能人やタレントも、Facebookをメインで使っている人はまずいない。見かけるのはInstagram、YouTube、X、TikTokだ。

YouTuber、インスタグラマー、ティックトッカーのインフルエンサーはいても、Facebookのインフルエンサーはいない。Facebookでしか見られない面白い有益な情報があるわけでもない。両親が使っているイメージしかないFacebookを、あえてわざわざ使う理由がないのだ。

もう一つ、若者世代が実名登録を嫌がっていることも大きいかもしれない。大学生たちは炎上や個人情報流出を怖がり、匿名アカウントにしたり、写真を投稿する場合は鍵をかけた「鍵垢」にしたりしている。ところが、Facebookは実名登録で顔写真も登録して利用するものだ。そのようなSNSに対して、拒否感もあると考えられる。

もともとFacebookは2004年、当時ハーバード大学の学生だったザッカーバーグが作り、大学生の間で流行したものだ。「大学生のSNS」として広がり、全世界で30億人超が利用する最大のSNSとなった。

しかし日本では登場から20年経ち、もはや大学生はFacebookを見ていない。