中途採用求人数が激減している。景気低迷の中、新天地で成功を勝ち取る人に共通する条件は何か。4人の識者が、20冊の本をもとに解明する。
幻想を抱いていないか立ち止まって考えよ
人材コンサルタントの城繁幸さんも、インテリジェンス社長 高橋広敏さんと同じく、松下幸之助について書かれた江口克彦著『成功の法則―松下幸之助はなぜ成功したのか』を挙げている。同書について城さんは次のように話す。
「読むと、“常に仕事へ真摯に取り組む”といったとても当たり前のことばかり書いてある。だけど考えてみれば、この『当たり前のこと』を人はなかなかできないんですね。その気付きを与えてくれます」
城さんは「転職で成功する人は自分の羅針盤を持っている人」と話す。30代前半に独立を果たした彼にとって、その「羅針盤」の役目を果たした一冊がサミュエル・スマイルズ著『西国立志編』だった。有名無名・分野を問わず、300人を超える欧米の「成功者」が描かれるこの古典、まさに「脳にくる一冊」だと城さんは評した。
「1人につき1ページくらいの分量で立志伝が描かれるのですが、機械の発明や数学、法学……とその業績が現在に繋がっている人も多い。このような人々がいなければ社会は進んでいかないのだと考え、ぬるま湯に浸かっていていいのだろうか、と。20代の頃に読み刺激を受けました」
また転職や独立をするとき、「羅針盤を持つこと」と同時に、城さんが大切だと指摘するもう1つの姿勢がある。