中途採用求人数が激減している。景気低迷の中、新天地で成功を勝ち取る人に共通する条件は何か。4人の識者が、20冊の本をもとに解明する。

幻想に陥りすぎずに現実を見る

漫画家 
三田紀房氏

『ドラゴン桜』の作者として知られる漫画家で、現在は就職活動をテーマとした『銀のアンカー』を連載中(※2009年雑誌掲載当時)の三田紀房さんは、ドストエフスキー著『罪と罰』や向田邦子著『あ・うん』といった小説を挙げた。こうした作品を読むことから、“自分を客観的に見つめること”や“幸福というものは常に相対的であること”を読み取ってみてはどうか、と彼は話す。

「転職や独立をしようというときは、勝手に抱いたイメージの中に自分を置いてしまいがちだと思うんです。実際は職場の人間関係がよくないとか、上司が気に入らないといった理由でも、『自分のやりたいこと』や『キャリアをつくる』といった理由を後付けでつくって正当化してしまう。幻想に陥りすぎずに現実を見る姿勢として、『罪と罰』の苦悩する主人公の姿がよい教科書になるのでは」

(撮影=増田安寿(人物)、小林久井(本))
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