メーカーの抜け道になってしまっている

つまり、合成界面活性剤や、表示がはばかられるような危険な成分を配合していたとしても、「指定成分でなければ表示をしなくて良い」のですから、メーカーとしては抜け道にもできてしまうのです。

良心的な業界団体やメーカーは、薬用化粧品においても、自主的に全成分表示をしています。しかし残念ながら、そうではない団体やメーカーも少なからず存在するのです。

薬用と言われると、普通の化粧品よりも肌への効果を期待してしまうのが、消費者の心理です。おそらく多くの人が「薬用と書かれているから肌に良さそう」と考えて、手に取った経験があるのではないでしょうか。

確かに肌に有効な成分は入っていますが、同時に何が入っているかわからないリスクもあります。薬用化粧品だから安心・安全というわけではないのです。

化粧品会社の仕事はお客様に夢を売ること

日本の某有名化粧品会社の方から聞いたことがあるのですが、化粧品会社の仕事はお客様に夢を売ることだそうです。キレイな肌や髪の持ち主が高価な化粧品のCMに出演していれば、「それを使えば、きっと自分も!」と誰もが期待してしまうでしょうし、真似したくなるはずです。

brandの文字を拡大するルーペ
写真=iStock.com/Olivier Le Moal
化粧品会社の仕事はお客様に夢を売ること(※写真はイメージです)

なぜなら、CMは夢を見せる場所だからです。そして、耳に心地良い言葉でその気にさせ、その商品を買いたい気持ちにさせるのです。

CMや広告では、イメージ戦略が重要です。天然成分、オーガニック、自然派、アミノ酸、弱酸性……。これらの言葉が耳に入ると、「なんとなく肌や髪の毛に良さそう」と感じる人も多いと思います。

たとえ、消費者はそれらの言葉の「本当の意味」を知らないとしても、「なんとなく」というイメージを持たせることは、理屈を説いて聞かせることよりも、ずっと大きな購買意欲を抱かせます。