理由は「薬機法」にある

確かに、「正しい使用法なら健康に害はない」と提唱する学者もいるため、確実に「ラウリル硫酸ナトリウムが危険だ」とは、言えないかもしれません。

しかしなぜ、そのように“危険かもしれない”成分を含んだ化粧品が、日本で発売されているのでしょうか?

その理由は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、いわゆる「薬機法」(旧薬事法)にあります。

この法律は、その名の通り、医薬品、医療機器等の品質と有効性及び安全性を確保する目的で、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。

2014年の改正により、薬事法から薬機法へと名称が変更になりました。

全成分を表示することが義務づけられた

薬機法は医薬品や医薬部外品だけでなく、化粧品や健康食品の規制にも適用され、近年では罰則規定が強化されたことから、医薬品や化粧品を販売する事業者は十分、注意を払う必要があります。

たとえば、事業者は商品を宣伝する時も、「これを使えば○○が治ります」といった誇大広告や、「売上げNo.1」「日本一、強力」など消費者に誤解を与えるような表現は避けなければなりません。

これまでも薬機法(旧薬事法)は何度か改正されていましたが、化粧品会社に大きな影響を与えたのが、2001年4月の改正です。

改正により、医薬部外品を除くすべての化粧品について、消費者にわかりやすく全成分を表示することが、義務づけられたのです。

シャンプーのボトルを持つ手
写真=iStock.com/sergeyryzhov
全成分を表示することが義務づけられた(※写真はイメージです)