ポジティブに考えると不安は悪化

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の3人の心理学者がこんな心理実験をしました。

池田由芽『メンタル“ヤバめ”をやめられる本「今日も自分を大切にできた」と思える心理学』(大和出版)
池田由芽『メンタル“ヤバめ”をやめられる本「今日も自分を大切にできた」と思える心理学』(大和出版)

被験者はクモ恐怖症の人たちです。研究チームは被験者を3つのチームに分けました。そして、それぞれのチームの前にクモを置いて、こんな対応をしています。

①クモが無害であることを説明する(楽観的思考)
②クモへの関心をそらす質問をする(経験の回避)
③今感じている気持ちを言語化するように指導(感情のラベリング)

③のチームの「感情のラベリング」とは感じている感情を言語化してあげる、ということ。つまり、積極的に「クモが怖いって感じていいよ」と言語化を促してあげたのです。

さて、結果はどうなったと思いますか?

①「楽観的思考」で無理やりポジティブに考えようとしたチームと、②「経験の回避」で、クモを見て見ぬふりしたチームは不安が悪化。

③「感情のラベリング」で、ネガティブを迎えにいったチームだけが不安が減少したのです。

「感情を抑制することが、よりよい決断につながるというのは間違いだ」とは、リスボン大学の神経学者・ダマシオの言葉。

ネガティブは感じることで、小さくしてあげられるのです。

【関連記事】
だから「幸せ」がどんどん逃げていく…最新科学が突き止めた「幸せになれない人」が唱えている“呪いの言葉”
精神的につらいことがあったら「直ちにその日を終了」が正解…増加する高齢者うつを防ぐたった1つの方法
「人生が不安で、タバコとお酒が辞められない…」40代男性の悩みを一気に解決した"たった1つの習慣"
心のやさしい人ほど「孤独な老人」になる…精神科医が断言する「ラクに生きるためにいちばん大切なこと」
仕事もない、話し相手もいない、やる事もない…これから日本で大量発生する「独り身高齢男性」という大問題