日本の中小企業には、海外に進出してグローバル化の恩恵を十二分に受けているところがいくつもある一方で、いまだに国内にとどまったままという会社も数多く見受けられる。
その理由に、社内の国際人材不足を挙げるところが多いが、はっきりいって本末転倒だ。なぜなら、国際人材とは、海外に派遣され、そこで経験を積むことでしか育たないからである。
たとえば、国際化のために英語力が必要だと、社員にTOEICの勉強をさせるような企業が最近は増えている。しかしながら、そうして英語力をつけても、タイやベトナムの工場で現地の従業員を指導するときに使うのはタイ語やベトナム語。大事なのは、知らないところに飛び込む勇気だ。
もちろん、異国の地で日本人とは違う文化で育った人を教育したり、自分の責任で意思決定をしたりするのは、言語の壁が低くなってもなお楽なことではない。しかしながら、そういうことを実際に経験している社員が増えることで、その会社は徐々に国際市場に対応できるようになっていくのである。
といっても、すべての中小企業が海外に進出しなければいけないということではない。日本には世界第3位となる大きな市場があるので、国内だけで勝負するという経営戦略だって十分に成り立つ。しかし、もしそうするとしても、一度は海外に挑戦する姿勢が必要だ。
なにしろASEANには5億人の巨大マーケットがあるのである。しかも、日本企業というだけで、そこではあらかじめ信用が付加されるのだ。食わず嫌いではあまりにもったいない。仮に国内市場に集中するにしても、アジアや世界の現状を見てからにすべきだろう。
最後に、国内国外にかかわらず、中小企業が成功するために注意しなければならない点を挙げておこう。