熱処理は主にスチール製の機械部品の強度を高める技術だ。プレスで成形されたスチールの部品を工業窯炉の中で約930度に加熱、浸炭(しんたん)といってカーボンを素材に供給し、硬度を増した後に油に漬ける。焼き入れの原理で、部品を硬く強くするのが代表的な加工工程である。

大阪市東住吉区の東研サーモテックは、戦前から熱処理を生業にしてきた。会社は自動車産業の勃興と共に発展。数千点に及ぶスチール製の自動車部品の多くは、強度を加えるため熱処理が必要だ。川嵜修が父親の跡を継ぎ、社長になった1989年には、工場も入社当時の3つから7つに増えていた。

当時、北米では日本との貿易摩擦が社会問題化。日本で野放図に生産し、輸出する形態はもう通用しない。外国に自動車の生産工場を建設し、現地の人を雇用するようになっていく。