2度のがん治療中も筋トレは続けていた

悪性リンパ腫での1回目の入院後に足腰の衰えを実感して、その後の2回目、3回目の入院時や、肝門部胆管がんの手術の前後にも、スロースクワットを柱とした筋トレを続けてきました。

近年では、がんに限らず大きな手術の前後には、しっかりと筋トレなどの運動を行って体力をつけるとよいという考え方が広まってきています。

私自身も、肝門部胆管がんの手術日の約3週間前から、定期的な筋トレを始めました。スクワットはもちろんですが、自転車エルゴメーター(エアロバイク)や、呼吸筋のトレーニングも行いました。

予定されていた手術では、みぞおちの下からおよそ40cmにわたって大きく腹部を切り開きます。筋力が足りないと、このような手術後には、横隔膜の上げ下げがうまくできなくなってしまう人もいるのです。そうした障害を避けるため、前もって専門の器具(簡単な器具ですが)を使って呼吸筋を鍛えます。

吸気の体積を測りながら、目標値まで息を吸っていきます。これを、1セット10回、1日3〜5セット。私は普通の患者さんよりも吸う力が強く、器具の上限値の2.5Lを1日10回、朝昼晩やっていました。

「8秒スクワット」より上級の「12秒スクワット」

呼吸筋のトレーニングだけに限りませんが、こうしてさまざまな「プレコンディショニング」を行い、筋力・体力を少しでもアップさせておくことが、手術の成功や予後を左右するとされています。

「4秒かけてゆっくりと腰を下ろし、静止なしで、4秒かけてゆっくりと立ち上がる」というスロースクワットも、もちろんメニューに入っていました。

このときは、本書で紹介しているスロースクワットより、少し刺激の強い方法で行いました。

それは、4秒かけて腰を落としたら、そこで4秒キープ(ここが本書で紹介のスクワットよりきつい部分)、次に4秒かけてゆっくり立ち上がるというものです。これを8回×3セット行いました。

スロースクワットを行うのは週に2~3回、合間に体幹や上肢のトレーニングを挟むようにしました。また、以前共同研究も行ったことのある、立派なリハビリ室に赴き、エアロバイクこぎなども行いました。