モチベーションが低いと転職もうまくいかない

例えば、図表1にある下2つのラインはモチベーションが低い状態です。無気力や危機といったモチベーションで、「会社に嫌な人がいるから」など転職の動機づけがマイナスなものだと、転職もうまくいきません。早期に転職できるかやお金のためなどを軸にする転職活動では、失敗する可能性が高いでしょう。

【図表1】モチベーションウェーブ

モチベーションのラインが高いところにあれば、転職の好機です。どういう理由でなぜ転職したいか。転職をしたことで自分の在り方として何が実現できるか。そうした内的要因が深掘りできていれば、やりたことや目指すものが明確なだけに迷う必要はありません。

とはいえ、転職するにはある程度のステップが必要になります。私は「TLEP」という考え方を提案しています。Touch(触れる)、Learn(学び)、Experience(経験する)、Practice(実践する)の頭文字をとって命名しました。

これを身につけ実行していくと、思いつきや単なる希望でなく、「なぜその会社で働くか」を問うトレーニングにもなり、理想のあり方、自分の働き方に近づけることができます。

「TLE」という3つの下準備が重要

最初のT(Touch)は、転職したい会社や業界があれば、実際にそのサービスに触れてみたり、現場に行ってみるという意味です。行動を伴うことでキャリア形成の一歩が踏み出せます。

次のL(Learn)は学びでリサーチしたり本を読んだりしていくことです。そして、E(Experience)は実際に気になる会社や業種があれば採用に応募してみたり、アルバイトでも経験してみるのもひとつの行動です。

つてを頼って実際に働いている人に話を聞くのも疑似体験としての経験になるでしょう。「この方法ではうまくいかない」「思い通りにならない」といった、現実を知ることもできます。最後のP(Practice)は、実際に転職をして働き始めることです。

TLEと3つのステップを踏んでいると、深く考えずに転職したケースに比べれば、予想外のことやうまくいかないことも踏まえた上で最後のP(実践)に入るので、常に自問自答しながら経験を重ねられます。

結果的にその道1本で進むこともあれば、理想と現実の違いに気づいてキャリアを変えていく選択もできるはずです。このTLEPを続けながらキャリアを歩んでいくことで、納得のいく転職活動に繋げることができるでしょう。