ベストタイミングがないなら躊躇しなくていい
たしかに辞めるタイミングは難しい。とくに起業ともなれば、計画を立てて状況がクリアになってからと考えるはずです。でも、すべてが順調に行くわけないんです。計画の中でズレこむことだってあります。
ですから、自己資金などのちょっとしたお金の問題だけなら、ためらうことはありません。まず起業をして、何かが足りないならそれに合わせて考えていったほうが行動量も増えていくので、時間を巻くことにもつながります。
転職も同じです。浅い思考ですぐに決断しては意味がありませんが、自分の中で落とし込みができていれば、そのタイミングで動いたほうがいいでしょう。
もうひとつ、タイミングを見計らうより動いた方がいい理由として、「計画的偶発理論」が挙げられます。この理論は心理学者のジョン・D・クランボルツが発表したキャリア理論です。彼の調査によると、ビジネスパーソンとして成功した人の8割はターニングポイントが「本人の予想しない偶発の出来事」によるものだったとしています。
待つより行動したほうがチャンスは増える
この理論の骨子は3つあり、1つ目は予期せぬ出来事がキャリアを左右すること。2つ目は偶然の出来事が起きた時に行動や努力で新たなキャリアにつながること。最後に、待つのではなく意図的に行動することでチャンスが増えることです。
要するに、計画は半分程度は立てるけど、あとは行動しながら、偶然性を伴って進んでいく。計画だけを綿密に考えていたら3年、4年と行動するまでに時間がかかり、その分、リスクや決断できない理由が増えていくだけです。だからこそ、先に決断して動いた方が強制的にアンテナをはらないといけなくなるので、情報や行動量も伴ってくるというわけです。
一方で、モチベーションの観点から転職のタイミングを計ることはできます。「モチベーションウェーブ」(次ページ、図表1)といった概念で私は説明しています。マズローの理論なども掛け合わせた独自の考え方で、モチベーションには5つの段階があり、それによって人の気持ちはポジティブにもネガティブにもなることを示しています。