曖昧戦略では中国を抑止できないのか
・曖昧戦略では、軍事的に強大化した中国を抑止できない。
・台湾を防衛する「意図を明確にする」方針変更は「一つの中国」政策の枠内で可能であり、むしろ米中関係を強化する。
・中国の軍事的優位は明らかで、中国の行動を待って米国が態度を決めるのでは遅すぎる。
・中国が台湾統一に動いた場合、万一、米国が台湾を守らなければ、日韓は「米国に頼れない」と判断する。そうなれば、両国は対中接近か核武装を選択しかねず、いずれも次の戦争の原因になる。よって、曖昧戦略は地域の現状維持に資さない。
・台湾を防衛する「意図を明確にする」方針変更は「一つの中国」政策の枠内で可能であり、むしろ米中関係を強化する。
・中国の軍事的優位は明らかで、中国の行動を待って米国が態度を決めるのでは遅すぎる。
・中国が台湾統一に動いた場合、万一、米国が台湾を守らなければ、日韓は「米国に頼れない」と判断する。そうなれば、両国は対中接近か核武装を選択しかねず、いずれも次の戦争の原因になる。よって、曖昧戦略は地域の現状維持に資さない。
同論文発表から1年後の2021年10月11日、今度はバージニア州選出のエレイン・ルーリア民主党下院議員が米『ワシントン・ポスト』紙に「米議会は台湾に関しバイデンの制約を解くべし」と題する小論を掲載した。元米海軍中佐でもある同議員の台湾防衛に関する主張は次のとおり、じつに率直、大胆かつ明解である。
・米国には現在、中国を抑止する戦力も、それを使用する大統領の法的権限も存在しない。
・現行の戦争権限法と台湾関係法は大統領に台湾を防衛する権限を与えていない。
・大統領は中国の台湾侵攻を撃退し、全面戦争を抑止すべく迅速に対応する権限を持たない。
・「台湾侵攻回避法案」により、大統領に台湾を防衛する権限を与えるべきである。
・同法案は、大統領に台湾介入を義務付けず、「一つの中国」政策を変えるものでもない。
・現行の戦争権限法と台湾関係法は大統領に台湾を防衛する権限を与えていない。
・大統領は中国の台湾侵攻を撃退し、全面戦争を抑止すべく迅速に対応する権限を持たない。
・「台湾侵攻回避法案」により、大統領に台湾を防衛する権限を与えるべきである。
・同法案は、大統領に台湾介入を義務付けず、「一つの中国」政策を変えるものでもない。
見直しを求める声は続いている
米大統領は現行法上、中国のグレーゾーン戦術、ハイブリッド戦などによる台湾侵攻戦略に適切に対応する権限がない。ルーリア議員は「曖昧戦略を変更せよ」とまでは言っていないが、少なくとも「台湾を防衛する」意図を米国政府がこれまで以上に「明確」にすることは求めているのだ。
米海軍の元軍人で下院軍事委員会の副委員長であったルーリア議員が寄稿した意味は決して小さくない。その後もこの種の「曖昧戦略」見直しを求める声は続いており、同様の主張はいま米議会内でも静かに、かつ超党派で増殖しつつあるように思える。しかし、だからといって、近い将来こうした主張が米国の台湾政策の主流になるとは思わない。