覚えのない海外からの不在着信に折り返し電話を掛けるとどうなるのか。ITジャーナリストの三上洋さんは「折り返すと、日本語や英語の自動音声でクイズなどが流れる。通話を続けると高額な国際電話料金を請求されるので、絶対に掛け直してはいけない」という――。

※本稿は、三上洋『深掘り! IT時事ニュース 読み方・基本が面白いほどよくわかる本』(技術評論社)の一部を再編集したものです。

不明な着信
写真=iStock.com/celiaosk
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「覚えのない海外からの不在着信」に潜む罠

あなたのスマホに知らない海外の電話番号から着信が来たことがあるでしょうか?

この着信は「国際ワン切り詐欺」と呼ばれるもので、過去に繰り返し発生しています。ワン切りとは電話を1回(ワンコール)だけ鳴らして切る、もしくは一瞬だけ電話をかけてすぐに切る行為のこと。携帯電話の通話料金が高い時代に使われていた方法ですが、それが国際電話経由で行われています。

今までの事件をまとめたのが図表1で、古くは2007年頃のガラケーの時代から発生しています。

国際電話にかけさせる詐欺は1990年代後半から存在しており、このときはインターネットのダイヤルアップ接続(電話経由でインターネットに接続するしくみ)のプログラムを書き換え、海外に接続させる不正プログラムでした。

災害を悪用した「国際ワン切り詐欺」

国際ワン切り詐欺が大きな話題となったのは2017年6月のことで、芸能人にも着信があったことでテレビでも取り上げられました。間違って折り返してしまい、数万円の国際電話料金を支払うことになったという被害者インタビューも、テレビで流れました。

もっとも悪質だったのは、2019年9月の台風災害があったときの着信です。9月5日に関東・東北に上陸し大きな被害を出した台風15号と前後して、西アフリカのモーリタニアから多数の着信があったのです。

折り返すと日本語の自動音声で「あなたの家族と友人が待っています。会話したければこのまま待機してください」と流れて待機させるものでした。災害のタイミングを狙って、長時間の国際電話をかけさせる悪質な手口です。

後述しますが、LINEメッセージを使った当選詐欺と組み合わせた手口もあります。このように、国際ワン切り詐欺は古くからある詐欺で、手を変え品を変え繰り返し発生しています。