クレジットカードの不正利用が急増している。昨年の被害総額は過去最悪の540億円だった。ITジャーナリストの三上洋さんの著書『深掘り! IT時事ニュース 読み方・基本が面白いほどよくわかる本』(技術評論社)から、カード情報を盗み取られた手口を紹介しよう――。
クレジットカードで支払いをする人
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クレジットカードの不正利用被害が急増

クレジットカードを勝手に第三者に使われる不正利用は、クレジットカード誕生の頃からある古い犯罪です。クレジットカード会社は、安全性の高いICカードの普及など様々な対策を取っており、一時期は不正利用被害額が大きく減りました。

しかし近年になってクレジットカード不正利用が急増しています。図表1は、約20年間のクレジットカード不正利用被害額のグラフです(日本国内)。

インターネットの普及と共に2003年頃まで増えていた不正利用ですが、対策によって大きく減少し2010年代前半には年間で80億円を切っていました。しかしその後、犯罪グループ側の組織的犯行により再び被害額は増えています。

特にコロナ禍でネット利用が大幅に増えたことから、不正利用被害も増えています。ネットに不慣れな層を狙った詐欺が横行したためです。2023年は史上最悪の約540億円の被害となりました。毎日1億4000万円以上の被害が出ている計算です。