話題を呼ぶ「世界料理シリーズ」

また、さらなる美味しさと新しさを提案する「世界料理シリーズ」は、他の飲食店にないオンリーワンの取り組みとして、松屋の人気を高めている。海外に行くことができなくなったコロナ禍をきっかけに、「世界中の珍しい料理を、松屋を通して知ってほしい」という思いから、世界の味と松屋らしさを組み合わせた世界料理シリーズはスタートした。

第一弾は、2019年12月に限定販売して大きな話題を呼び、2020年1月に全国展開された「シュクメルリ鍋定食」である。「世界一にんにくを美味しく食べるための料理」と呼ばれる、にんにくとチーズを効かせたホワイトソースで鶏肉を煮込んだジョージア料理を、松屋の定食メニューとして開発したところ、大反響のヒット商品になった。期間限定で発売されたこの商品は、その後、松屋復刻総選挙で連続1位に選ばれて復刻されており、2024年6月にはジャパン・フード・セレクションで最高賞「グランプリ」を獲得している。

「シュクメルリ鍋定食」
「シュクメルリ鍋定食」(画像=松屋フーズホールディングスプレスリリース

「らしさ」を保ちながらも新しさを追求することに成功

この成功を受けて、世界料理シリーズは期間限定商品として定期的に開発・販売されるたびに注目を集めている。ジョージア、ペルー、マレーシアなど、一般的には知られていない珍しい世界の味を取り上げて、他では食べられない特別な美味しさの定食メニューを開発している。2024年5月には、アルゼンチン料理のソースを使った「チミチュリソースハンバーグ定食」を10カ国・地域目の世界料理として発売するなど、松屋の新たな魅力となっている。

牛丼店として、定食店として、そしてファミレスとして、松屋はさまざまな「外」の良いモノを上手く取り入れながら独自の価値を作りだしている。松屋らしさを保ちながら新しさを追求することで、既存顧客を捨てずに新規顧客の開拓を進めることに成功し、誰もがお得に利用できる「みんなの食卓」という理想に向かってさらなる成長を続けている。

【参考文献】
※1 本店の旅「松屋 1号店 江古田店」、TBS「【この差って何ですか?】もとは中華料理店だった⁉松屋の意外なトリビア4つ」を参照。
※2 ぐるなびPRO「Top Interview 株式会社松屋フーズ 代表取締役社長 緑川源治氏」、TBS「【この差って何ですか?】もとは中華料理店だった⁉松屋の意外なトリビア4つ」を参照。
※3 ぐるなびPRO「Top Interview 株式会社松屋フーズ 代表取締役社長 緑川源治氏」を参照。
※4 フラーのデジタルノート「お客様を“儲けさせる” 松屋フーズ公式アプリに込める思いとは App Ape Award 2023 リテール賞アプリインタビュー」を参照。

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