“パウパト”コラボなどでファミリー層も開拓

開店当初から現在に至るまで、松屋がコンセプトに掲げ続けているのは、「みんなの食卓でありたい」だ。牛丼という商品だけでは、近年に女性ユーザーの開拓も進められているとはいえ、やはり男性ユーザーがメインになる。そこに、牛丼以外のさまざまな定食メニューが充実することで、男女問わず、「みんなの食卓」に近づくことができる。ただ、真の意味で「みんな」になるには、「子どもたち」をユーザーに入れる必要がある。つまり、ファミリー層の獲得だ。

2024年6月から、松屋では、子どもに大人気のアニメ「パウ・パトロール」とのコラボキャンペーンを展開している。特製のコースターやステッカーの景品をつけて「おこさま牛めしわくわくセット」と「おこさまカレーわくわくセット」を販売している(※景品はなくなり次第終了)。これは、とても分かりやすく、ファミリー層の開拓を進めるための取り組みとなっている。

ファミリー層に向けてコストパフォーマンスに優れた料理を提供する、という意味で、牛丼、カレー、ハンバーグ、そして多彩な定食メニューを「早く、安く、美味しく」提供する松屋は、「ファミレス」としての成長を見せている。店でも自宅でも、ファミリー層を含む「みんな」が、より便利に松屋を使いやすくする公式アプリの普及も、成長の大きな促進材料になっている。

「今日はこれを食べたい」と言えるようなアプリ

デジタルパートナー事業を手掛けるフラー社のアプリ市場分析サービス「アップ・エイプ」のデータを基に優れたアプリを選ぶ「アップ・エイプ・アワード 2023」において、松屋の公式アプリはリテール賞に選定された。アクティブユーザー数の成長率が他と比べて突出して大きく、ユーザー評価も高いことから、「2023年にリアルビジネスへの活用に最も成功したアプリ」という評価を受けて選ばれている(※4)

この松屋のアプリでは、券売機の代わりに店内・持ち帰りのスマホ注文ができる「松屋モバイルオーダー」、持ち帰り弁当の予約サービス「松弁ネット」、弁当のデリバリーサービス「松弁デリバリー」という3種類の注文機能が利用できる。アプリの役割として、松屋の担当者は「いつでも、どこでも、誰でも囲むことができるあったかい食卓である『みんなの食卓』として、誰もがお母さんに『今日はこれを食べたい』と気軽にお願いするような感覚でアプリを使っていただくことが最大のミッションです」と説明しており、アプリ会員数は300万人を突破している(※4)

スマホを使用する人の手元
写真=iStock.com/Irina Gutyryak
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