EU議長国は「自国優先」「親露派」のハンガリーに
欧州議会選挙が終わり、今後の欧州・世界情勢における大きな変動の可能性は次の2つが挙げられる。1つはEUの議長国が7月1日からハンガリーに変わったこと。もう1つは11月のアメリカ大統領選挙でトランプ前大統領が返り咲くことである。
ハンガリーのオルバン首相は、政権与党である右派ポピュリズム政党「フィデス」を率いて、自身に権力を集中させている。自国優先主義、親露派として知られ、EUのウクライナへの資金援助に最後まで反対した。そのハンガリーが議長国となれば、ウクライナ支援だけでなく産業政策などにおいても、EUの従来路線が後退する可能性がある。
そしてオルバン首相は2024年3月にトランプ氏と会談するなど、近しい関係にある。アメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選した場合、オルバン首相だけでなく、欧州各国で右派ポピュリズム・自国優先主義的な政治家が力を持つことが予想される。
トランプ氏が再選すれば、世界は右傾化する
イタリアのメローニ首相も国内では右派連立政権であり、もともとは移民削減などの政策を主張していた。政権をとって以降は穏健保守路線だが、トランプ氏が大統領になれば、「本音」が出てくるかもしれない。
「なぜロシア人はプーチン大統領に『過去最高の投票』をしたのか…『強くて本音の政治家』が支持される理由」の記事に書いたように、「本音」で「強い」自国優先主義的な政治家は、生活苦にあえぐ市民から支持を集めている。極右勢力が台頭する中、トランプ氏の大統領就任によって、各国首脳が迎合せざるを得なくなり、世界的に自国優先主義に傾倒する恐れがある。