なんでも情報共有すればよいわけではない

では、百歩譲って、報連相を令和風にアップデートするためには、どうしたらよいのでしょうか。

そもそも報連相とは「情報共有」という考え方の延長にあるのだと思います。

現代物流の基本的な考え方のベースにもなっている「サプライチェーンマネジメント」(SCM)では、「情報共有を行って、必要なモノを必要なときに必要なだけ供給する」ことを重視しています。

この部分だけを切り取ると、「サプライチェーンの情報共有も会社の報連相も同じだ」ということになりますが、サプライチェーンで共有されるべき情報というのは「在庫情報」などの滞りの解消に必要な情報だけです。枝葉末節な情報は共有することで、逆にマイナスになることもあります。

同じように、報連相でも業務に必要な情報だけを共有する必要があります。

「直接、業務に関係ありませんが、シェアしておいたほうがよい情報なのでお知らせします」といった言い方をする意識高い系の人もいます。けれども、そうした余分な情報共有には何の意味もなく、「雑音を入れているだけ」なのです。

鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)
鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)

しかも、そうしてムリやりシェアさせられた情報は無視するわけにもいきません。忘れないようにしたり、気に留めておいたりすることで、大きな負担に感じることにもなります。

「取引先の課長が金魚を飼っている」といった業務と関係のない情報を共有する必要はないのです。それを業務日誌に書く必要もないし、細かく上司に説明する必要もありません。

報連相についても、その手間や負担、タイパの悪化などを考えて、必要最低限の情報の共有のみで十分なのです。

ましてや報連相を強いるのは論外です。「必要な情報を必要なときに必要なだけ共有する」ことで滞りの発生を未然に防ぐ。ここがポイントなのです。

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