紙とペンのままではデジタル化の波に乗り遅れる

また、資料の作成はデジタル化されていても、「資料は紙で配布する」「確認のためにプリントアウトして紙で確認する」では、何のためのデジタル化なのかわかりません。

デジタル化の波に乗り遅れないためにも、紙媒体ではなく、デジタル媒体での確認を意識しておく必要があります。私自身、紙媒体での資料作成や保存は、以前はともかく現在はまったく行わなくなりました。そのため、今はプリンターも自宅にはありません。

もっとも、タイピングが苦手で、レポートの作成に途方もない時間がかかる人もなかにはいるでしょう。最初からパソコンをうまく使えるわけではなく、ある程度、スムーズにパソコンで提出物をつくれるようになるには誰でも時間がかかります。

そこでパソコンがどうしても苦手、あるいは「紙で資料をつくったほうが頭に入る」という人には手書き資料をスマホで撮り、画像として保存することを勧めています。

私の個人的な感覚では、慣れもあるでしょうが、「手書きで1時間かかる資料は、パソコンならば10分でできる」といったところです。

テンプレートやコピペの活用、手書きでは絶対必要な清書の手間などがなくなるため、効率が上がるのは当然のことなのです。いつまでも紙とペンで作成しようとするのでは、能力も常識も疑われることになりますよ。

電卓を横に置いて鉛筆で数字を書く人
写真=iStock.com/Natalia Shabasheva
※写真はイメージです

不要な情報共有が滞りを誘発

会議の資料を読むだけの報告はなくそうとしても、なかなかなくなるものではありません。それは多くの日本人が「報告は必ずしなければならない」と思い込んでいることも関係しています。

実際、会議に限らず「上司への報告は常に必要」というのが日本社会。したがって、一般的には報連相は細かいほど評価されることになります。

ただし、それが大きな負担に感じる人は少なくないでしょう。

「会議が長くて非効率、そのうえ上司への報告事項がやたらに多い」というのでは、何のためにどんな仕事をしているのか、わからなくなります。

「部下には毎週、パワーポイントで報告書を書かせることにしている」という話はよく耳にしますが、書かされる部下の負担は相当なものになるでしょう。しかも書かせた上司はその報告書をきちんと読んで有効に活用しているのかどうかも疑問が残ります。

日本に来た外国人に聞くと、「そもそも報連相など存在しない」という国も多いようです。実際、グーグルやアマゾンのようなIT系の先進企業で報連相があるなんて聞いたこともありません。躍進著しいアパレル企業のワークマンでも報連相は行われていないといいます。