相手の話に「知りません」は「暴力」である

会話の中で何となく聞いたことがある話題が出たときに「間違ったことを言ってはいけない」と思って「知りません」と返してしまうことはないでしょうか。相手に気をつかいすぎたり、自信がなかったりするとき、ついやってしまいがちです。

ですが、コミュニケーションの視点でいうと、これは決してやってはいけないことです。もはや「暴力」と言い換えてもいいかもしれません。

なぜなら「あなたとのコミュニケーションを断ち切りたいです」という意思表示だと受け止められるからです。

「知らないからそう言ったのに、何でそれが悪いんだ」と思われるかもしれません。でも、相手とうまくコミュニケーションをとっていこうとするなら、なんでも真っ正直に返せばよいというものではありません。

たとえば、知らなくても「あ、名前は聞いたことがあります」と返してくれれば、相手は「そうそう、その○○なんだけど……」と会話が続けられます。

でも、「知りません」と言われると、あとが続かない。

せめて「もしかしたら聞いたことがあるかもしれません」と言えば、相手は内容を説明してくれるでしょう。

返し方としては、ほかにも、

「もしかしたら○○ということですか」
「聞いたことはあるけれど、やったことはないんです」

など、いくらでもありますよね。

知らない話題を振られたときのスマートな対応は

知らない話題を振られたら、そんなときこそ、スマホの出番です。「それはどんなものですか? ちょっと調べてみますね」とスマホを取り出すのです。

たとえば、あまり詳しくない野球の話題を振られたとしたら、

「野球ってそんなに面白いんですか」
「どちらのファンなんですか?」
「好きな選手はいますか?」

齋藤孝『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)
齋藤孝『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)

などと聞いて、「ちょっとスマホで見てみますね」と、その選手について検索してみます。

そして、

「へえ、こんなことが得意な選手なんですね」
「こんな記録を出しているんですね」

と自分で情報を得ながら話をつなぐことができます。

相手も自分に合わせてくれたと感じ、悪い気はしないでしょう。

コミュニケーションが苦手そうな相手で、それ以外にネタがない、というときも、活用しやすい方法です。

【関連記事】
「行けないや、ごめん」と返信しちゃダメ…旧友やSNS友からの誘いにイマイチ乗り気になれない時の正しい返信
銀座ママが「LINEを交換しよう」と聞かれたときに必ず使う"スマートな断り文句"
人生がうまくいっている人は絶対に言わない…心理カウンセラーが教える「不幸になっていく人」の残念な口癖
顧客からの依頼に「すぐにやります」は絶対言ってはいけない…仕事のデキる人の"王道の返答フレーズ"
これをやって切れる人間関係なら捨てていい…和田秀樹「本当に必要な人間関係を見極めるリトマス試験紙」