悩む時間は最小限のほうがいい

「期待しない」の方向性は、三つあります。

「○○してもらえるはず」と、人に期待しない
→相手が失礼だったり冷淡だったりしても、ガッカリしないで済みます。

「自分は○○できるはず」と、自分に期待しない
→自分を責めたり、「○○しなくては」と焦ったりしなくて済みます。

「○○によってうまくいく」と、結果に期待しない
→良い結果にならなくても、落胆せずに済みます。

結果、悩む時間を最小化できるのです。「何もかもあきらめろということ?」と思ったかもしれませんが、どうか誤解しないでください。決して「悲観的になれ」と言っているのではありません。

悲観的な態度とは、「しょせん他人は冷たい」「どうせ失敗する」「何をしてもうまくいくことはない」と、投げやりになることです。これはむしろ、期待が強すぎる状態です。

期待が強ければ強いほど、アテが外れたときの傷も深くなります。その反動で「どうせ……」と心を閉じるのが、悲観モードです。

今から実践できる「期待しない」練習方法

そうではなく、身につけるべきは、悲観でも楽観でもなく、フラットな態度です。「絶対にうまくいくはず」でもなく、「うまくいくはずない」でもなく、「さて、うまくいくかな?」くらいの気持ちでいると、結果もフラットに受け止められます。

悪い結果に落ち込まず、良い結果に浮かれず、「あ、そうか」「じゃ、次はどうする?」と、未来に目を向けることもできます。心が平穏になるうえに、前向きにもなれるのです。

「全然、できる気がしない」と思うかもしれませんね。たしかに、最初は難しいです。「期待しない」は、自転車と同じです。乗れるようになるには訓練が必要ですし、一定の練習期間がかかります。しかしいつかは必ず乗れるようになりますし、いったん乗れたら、もう乗り方を忘れることはありません。

西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)
西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)

「期待しない」の練習方法は、いたってシンプルです。何かにガッカリしたとき、「あ、期待してた」と思うだけ。

この気づきを地道に繰り返していると、いつしか要領がつかめてきます。それから、気づいたときに「また期待しちゃった、ダメだな……」と自分を責めないこと。気合を入れる必要もなく、普段はまったく意識しなくて結構です。

何かあって凹んでいる自分に気がついたら「あ、期待してたわ」と一瞬思い、すぐ忘れるのがコツ。このアッサリ感そのものが、「期待→ガッカリ」のクセから抜ける練習にもなっています。急がずのんびり、着実に取り組みましょう。

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