なぜ「大金持ち」は幸せそうに見えないのか

お金と、健康と、人間関係。私たちの時間を奪う「悩み」の元は、この三つです。この三つの悩みのうち、一番解決しやすいものはどれでしょうか。

お金は、なかなか手ごわいです。お金を得るのが大変だから……ではありません。大変な人も、そうでない人もいるでしょうが、そこは本質ではありません。お金は、「得たところでそれだけでは幸せにならない」。だから難題なのです。

お金があれば、生活の不安が軽減されることは確かです。お金が多ければ、人生の選択肢が増え、贅沢もできたりするというメリットはあります。

一方で、お金は、あってもなかなか100%の満足には達しないものです。あったらあったで、「もっと、もっと」という思いが強くなる人もいます。となると当然、「幸せ」は感じづらくなります。どんなに増えても同じです。「お金があるから完璧に幸せ」と言っている人に、私は会ったことがありません。

私は勉強のために色々な国のさまざまなセミナーやワークショップに参加してきましたが、その中にはいわゆる「大金持ち」と言われる人もいました。何百億から兆単位の資産がある人や、とてつもなく広い部屋で何千万円もする家具に囲まれて暮らしている人もいました。

でも、必ずしも幸せそうには見えませんでした。家族関係がうまくいかず寂しそうな人もいれば、しょっちゅう豪勢なパーティを開き、きらびやかな方々に囲まれつつ、とても退屈そうな人もいました。

お金は、生きていくのに必要なものであり、あれば選択肢は増えるけれども(そのため、拙著でも仕事の役に立つ話も書いています)、幸せな人生を手に入れるための「決定打」にはならないのです。

「人間関係」の悩みは一番解決しやすい

では、健康はどうでしょうか。健康は、お金とは別の意味で難題です。当たり前だけれどシビアな事実として、健康を永遠に維持するのは不可能です。

人は、いつか必ず生命を終えるからです。年齢を重ねるほど健康を損なうことが増えるのも、変えようのない事実です。しかし、だからこそ、元気な時間をできる限り長く過ごしたいと思いませんか?

そのために医者がいて、こうして本や記事を書いたりもするのです。なお繊細な人は、実際の健康状態にかかわらず、不調になりやすいところがあります。病気ではなくとも、痛みやつらさを感じやすいからです。この感じやすさによる体調のつらさも、軽減はできます。この本ではおいおい、その方法も語っていきましょう。

さて、最後に残ったのは人間関係です。これこそもっとも難題に違いない、と思われるでしょうか?

実は逆です。人間関係の悩みは、三つのうち、もっとも解決しやすいのです。さらに人間関係は、お金と違って、解決すれば、幸せに直結します。そして、健康と違って「一生モノ」の解決策があります。その解決策を、順を追って、お話ししていきましょう。