消費者が医薬品と勘違いする表示はそのまま

そもそも、機能性表示食品の根本的な問題は、消費者が医薬品と勘違いしても仕方がないような機能性表示、たとえば「血圧を下げる」「悪玉コレステロールを下げる」「血糖値を下げる」というような、インパクトの強い直接的に言い切る表現が、エビデンスとしてはかなり弱いものが多い機能性表示食品制度において、パッケージにでかでかと表示されていることです。

紅麹サプリメントで健康被害を受けた人のかなりの割合が、基礎疾患を持っていたことがわかっています。日本腎臓学会によれば、死亡した5人のうち3人は、がんや高血圧などの既往症がありました。

機能性表示食品のパッケージをよくよく見ると、小さい字で「疾病のある方、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している方を含む)、授乳中の方を対象に開発された食品ではありません」と書いてあります。でも、健康な人がわざわざ「悪玉コレステロールを下げる」製品を手に取る、とは考えにくい。病院で生活習慣病等を指摘されるなどして気にしているからこそ、大きな字で効果をうたう機能性表示食品に手が伸びてしまい、体へのダメージにつながります。

トクホは誤解させないよう厳しくチェック

今回、問題となった「紅麹コレステヘルプ」も同様です。表面には大きく機能性を表示する一方、裏面の「本品は疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません」といった注意書きのフォントは著しく小さくなっています。

健康被害が出た「紅麹コレステヘルプ」のパッケージ
健康被害が出た「紅麹コレステヘルプ」のパッケージ

ちなみに、国の許可制である特定保健用食品(トクホ)では、「血圧が高めの方に適した商品」とか「コレステロールが高めの方へ」などと表示されています。医薬品と誤解されない表示にする、というのは消費者委員会のトクホ審査における重要なポイントなので、企業が少しでも消費者に訴求できる文言を、と提案してきた表示は、容赦無く変更を求められます。

医薬品まがいの機能性表示こそが、疾患を持つ人の健康被害につながっているのではないか、と検討すべきなのに、消費者庁は今回、パッケージの“売り文句”の文言自体はなんら問題にしませんでした。