大人になって困難に直面したときの対応力に影響を与える

友達と遊ぶことも大切です。他者との交わりは、子供の世界を広げ、「自分が知らないことがまだまだたくさんあるんだ」ということに気づかせてくれます。自分よりもうまくできる子をリスペクトするという素直な気持ちが成長に結びつくと同時に、「方法は一つとは限らない。自分の思い込みにとらわれないほうがいい」ということを知る機会ともなります。

こういった経験の有無が、中学生、高校生、大人になってからも、困難に直面したときの対応力に影響してくると私は考えています。

ところが、最近の小学生は勉強やゲームに忙しくて、外遊びをしない子が多いように思います。まあ、外遊びができる環境が減ったことも事実ですよね。子供たちが接することのできる世界、体験できることの範囲が狭くなり、好奇心を発揮する機会が減ってしまっているのではないかと危惧しています。

知識を蓄えることはとても大切なことです。しかし、与えられた知識を遮二無二詰め込むだけでは「楽しさ」がありません。そういった勉強の仕方では意欲が生まれにくく、すぐに限界に達してしまいます。

学びに対するモチベーションの根底には「知識を得ることの喜び」が必要です。親に言われたから、先生に言われたから覚えるのではなく、自分から知識を増やすことができたときの嬉しさの経験が大きく作用します。

外遊びの機会が減ってしまった今、親にできることは、とにかくいろいろなことを体験させて、世界を広げてやることです。旅行に行ったり、博物館や美術館を訪れたり、さまざまなスポーツやアウトドア活動に取り組むといったことは、もちろん、子供に大きな刺激を与えます。

そこで芽生えた好奇心の芽を大切に育んでやってください。親御さんから見ていると「そんなことにばかり夢中になって」とか「見ていてハラハラする」といったこともあるかもしれません。でも、子供自身が自分の興味から自分の行動を考え実行していく経験をできるだけ多く持たせてほしいと思います。

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開成学園の校章
撮影=プレジデントオンライン編集部
(構成=金子聡一)
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