世界恐慌は下落率89%を記録
それではまず、世界の暴落史に残る規格外の大暴落を確認していきます(図表1)。
最も有名なのは、1929年の世界恐慌でしょう。ダウ平均株価はピーク時の386ドルから34カ月かけて41ドルまで下落します。その下落率は脅威の89%。常軌を逸しています。
このウォール街大暴落に比肩するのが日本の資産バブル崩壊です。1989年ピーク時の日経平均株価はザラ場ベースで38957円。最安値をつけたのが226カ月後の2008年で、その下落率は82%となっています。
いずれの暴落も尋常ならざる事象であったことは容易にうかがい知ることができます。
上記の世界恐慌や日本のバブル崩壊については、人間の欲望によりバブルが醸成され、臨界点を超えたところで崩壊するという本質的な部分からの学びがあります。
最悪のシナリオは「下落率60%、下落期間3年」
ですが、情報通信網が整備され誰もがリアルタイムでマーケットにアクセスできるようになった21世紀型の暴落に対処するためには、2000年以降の暴落を参考にするのが適当でしょう。
具体的には2000年のITバブル崩壊、2007年のサブプライム危機に端を発した2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2015年のチャイナショック、2016年のブレグジット決定、2020年のコロナショックです。
100年に1度の金融危機と呼ばれたリーマンショックの下落率は62%、ITバブル崩壊の下落率が64%であることを考えると、直近高値からの最大ドローダウンは概ね6割強となっています。
また、底値をつけるまでの下落期間はITバブル崩壊で36カ月です。その後の暴落では、36カ月を超える下落期間は発生しておらず、3年程度を最悪の目安と考えればよいでしょう。
以上のことから、株価暴落における最悪シナリオでは下落率60%程度、下落期間3年程度を想定してください。
PBRに注目してほしい
株価の下落局面で威力を発揮する投資指標が存在します。それがPBR(株価純資産倍率)です。
PBRは株価が1株当たり純資産の何倍になっているかを表す指標で、一般的に1倍で会社の解散価値(仮に事業をやめて資産を株主へ分配した時の資産価値)と同じとされており、PBRが1倍を下回れば割安と考えられています。